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2023 年度 実施状況報告書

培養領域の形状最適化に基づく細胞遊走能の制御法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K14202
研究機関東京大学

研究代表者

宮廻 裕樹  東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (40881206)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード細胞遊走 / 細胞配向 / エネルギー最適化 / 周期構造
研究実績の概要

本研究の目的は,周期的な微細構造パターン上を遊走する紡錘形細胞集団の遊走現象を系統的に計算する手法を確立し,微細構造の最適化による細胞遊走の制御を実験的に実現することである.本年度は,所望の細胞配向構造を大規模かつ再現性良く実現するために,微細周期構造の単位構造の形状を最適化するための理論の構築と細胞培養による実験検証を行った. そのために,2次元細胞シートを菱形の単位形状に分割し,さらに菱形内を円弧によって分割することによって,特定の細胞配向パターンを大規模に誘導するアプローチを考案した.さらに,円弧によって分割された菱形パターン内の細胞配向はトポロジカル欠陥とよばれる細胞配向が定義できない特異点によって制御されることに着目し,単位形状の円弧の曲率などの幾何学的パラメータを変えたときの細胞配向の変化を数値的に検証した.その結果,円弧の曲率や菱形の角度によって,単位形状内に生じる欠陥の種類や配向構造が大きく変わることが確認され,単位構造の形状をパラメトリックに最適化することができた.
数値的に最適化された単位形状の妥当性を検証するため,マウス筋芽細胞(C2C12)による培養実験を行った.最適化した形状を持つPDMS構造体上に細胞を培養し,細胞の配向場を観察した結果,数値計算と同様な傾向を持つことが確認された.以上のことから,最適設計された単位形状を2次元的にタイリングすることによって,周期性を持つ細胞配向場を再現性良く実現し,細胞遊走を制御できることを示唆する結果が得られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り,微細周期構造の境界を最適化する設計理論を構築し,培養実験による理論の妥当性の検証ができたため.

今後の研究の推進方策

本年度設計した周期構造を用いて,実際に細胞遊走の制御が効率的に行えることを検証する.具体的には,周期構造上の細胞遊走をタイムラプス観察によって計測し,形状による遊走性の違いを評価する.

次年度使用額が生じた理由

今年度,海外での研究期間があり,培養実験による細胞遊走の制御可能性の検証が十分にできなかったため.次年度に繰り越した助成金は,研究のまとめに必要な培養実験および研究成果発表のために使用する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] タイリング構造に基づく細胞シートの配向制御2024

    • 著者名/発表者名
      藤井陽太, 宮廻裕樹, 三好裕之, 奈良高明
    • 学会等名
      第71回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 周期構造上の紡錘形細胞集団におけるトポロジカル欠陥のダイナミクス2023

    • 著者名/発表者名
      宮廻裕樹, 松田直樹, 坂上貴之, 奈良高明
    • 学会等名
      第61回日本生物物理学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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