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2022 年度 実施状況報告書

機能性テクスチャを創成する平面減衰機構を適用した超音波振動源のFC制御系設計

研究課題

研究課題/領域番号 22K14208
研究機関秋田工業高等専門学校

研究代表者

櫻田 陽  秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90442681)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード積層型圧電素子 / 精密位置決め装置 / 超音波援用加工 / 平面減衰機構 / 熱揺らぎ
研究実績の概要

近年,バイオミメティクス(自然からの学び)工学から興る,機能性テクスチャを創成することによる機能性の向上に関する取組みが進められている.これらを実現する加工方法の一つとして,超音波援用加工が考えられており,実現するためには,高速と高精度の両立が必須である.
機能性テクスチャを創成する素材など,従来の工作機械では難しい微細加工を実現する超音波援用加工の刃先制御の検討を進めている.研究を適用する超音波援用加工では,20kHz以上の速度で高精度に刃物を位置決めし精密な加工面を生成する必要がある.しかし,現状の加工機では高速および高精度を両立することが,難しい場合がある.そのため,研究を進めている振動方向に対しせん断に作用する薄い平面減衰機構およびその減衰機構の特性を分数階微積分という新たな数学の手法を導入した新しい制御法を適用し,加工のタクトタイムの短縮化を目指している.
本研究進捗に伴い,超音波振動源の熱揺らぎから超音波振動のバイトの加工振幅量が変化すること確認し,その対策として,加工振幅量が変化することを抑制する駆動アンプを開発し,現在も秋田県内企業と協業して新たな機能を盛り込むため開発を進めている.この駆動アンプの制御手法の一部に特許性がないか調査しながら進めていることから,まずは本研究の科学研究費助成事業の期間内の公表差し控えを希望するものである.また,研究の進捗に応じて,期間の延長を検討したい.
1年目の研究費について,導入予定の制御機器の価格高騰に伴う予算に収まる装置の再選定を進め,各メーカーからデモ品等を借用し,実際に適用可能性を評価していたことから,入札準備が遅延した.現在,選定と学内審査会資料の作成が終わり,今年度の早い段階での導入を目指し,進めているところである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究進捗に伴い,超音波振動の熱揺らぎの影響が顕在化し,事前の想定と異なる問題が発生している.熱揺らぎによる駆動源の共振周波数の変化が,バイトの加工振幅量を低減していると実験を継続して分かり始めている.その対策として,共振現象に伴い,電気的に出力電圧と電流の位相差が180度になることを応用し,駆動源に位相差検出のシステムを導入し,出力電圧の周波数を制御することで,超音波振動を一定に制御し,加工実験により有効性について,ある一定の効果があることを実証している.これから,この駆動アンプを用いた制御手法の確立と機能性テクスチャを創成する加工のタクトタイムの短縮化の方向性は,ある程度,明確になっており,順次進めていく予定である.また,この駆動アンプの市場調査を進め,科研費からの新たな製品創出および企業との協業についても,検討を進めている.

今後の研究の推進方策

新たな駆動源およびアンプシステムを構築し,超音波振動を一定に制御できつつあり,事前の想定と異なる問題の対策は進んでいる.今後は,機能性テクスチャ形状を試作を進め,各種性能評価を進める.最終的に高い周波数にて振動する加工に適用した振動源の構造および拘束板と粘弾性体から構成される平面減衰機構の設計指針を明確にし,新たな機能性テクスチャの形状加工時の研究開発のタクトタイムの短縮化を目指す.

次年度使用額が生じた理由

1年目の研究費について,導入予定の制御機器の価格高騰に伴う予算に収まる装置の再選定を進め,各メーカーからデモ品等を借用し,実際に適用可能性を評価していたことから,入札準備が遅延した.研究において,本設備が関連する以外の研究項目について,検討を進めていた.現在,設備についての選定と購入に伴う学内審査会資料の作成が終わり,今年度の早い段階での導入を目指し,進めているところである.今後は,導入設備に伴う実験と評価を重ね,その必要経費として研究費を活用していく予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Elucidation of Drilling Behavior on Workpiece Superimposed with Ultrasonic Vibration2022

    • 著者名/発表者名
      Naofumi Tsuji, Kota Takashima, Akira Sakurada, Kazuto Miyawaki, Hiromi Isobe
    • 雑誌名

      International Journal of Automation Technology

      巻: Vol.16 No.5 ページ: pp. 552-561

    • DOI

      10.20965/ijat.2022.p0552

    • 査読あり
  • [学会発表] 超音波振動切削により創成された表面テクスチャにおける真実接触状態の可視化(第2報)-3次元有限要素法による内部応力の解析-2023

    • 著者名/発表者名
      高島孝太,櫻田陽,河野大輔,辻尚史,川村拓史,原圭祐,磯部浩已
    • 学会等名
      2023年度精密工学会春季大会・講演論文集,F88
  • [学会発表] Controller design for L-type precision positioning equipment with a damper2022

    • 著者名/発表者名
      Kousei Sugawara, Naofumi Tsuji, Akira Sakurada, Kazuto Miyawaki, Hiromi Isobe
    • 学会等名
      7th STI-Gigaku2022, STI-9-51
  • [学会発表] ワーク励振による超音波援用小径ドリル加工に関する研究(第4報)シンニングされた小径ドリルの食いつき挙動に関する実験的考察2022

    • 著者名/発表者名
      辻尚史,高島孝太,櫻田陽,原圭祐,宮脇和人,磯部浩已
    • 学会等名
      2022年度砥粒加工学会学術講演会(ABTEC2022), C41
  • [学会発表] 超音波振動切削により創成された表面テクスチャにおける真実接触状態の可視化2022

    • 著者名/発表者名
      高島孝太,亀ヶ谷尚志,櫻田陽,原圭祐,河野大輔,田浦裕生,辻尚史,磯部浩已
    • 学会等名
      2022年度精密工学会秋季大会・講演論文集,E87
  • [学会発表] 超音波振動切削による表面テクスチャ創成技術と有用性の評価(第4報)-加工条件とトライボロジー特性の関係評価-2022

    • 著者名/発表者名
      高島孝太,櫻田陽,原圭祐,河野大輔,田浦裕生,辻尚史,磯部浩已
    • 学会等名
      2022年度精密工学会春季大会・講演論文集,E87, pp.387-388

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公開日: 2024-12-25  

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