研究課題/領域番号 |
22K14212
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
沓澤 京 東北大学, 工学研究科, 助教 (30881205)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 力覚信号処理 / 力覚センサ / 接触位置推定 / 粒子フィルタ |
研究実績の概要 |
本研究では、ロボットが道具や把持物体を介して環境に接触する状況において、力覚情報から道具の形状と道具上の接触位置とを同時推定する技術の開発を目指している。ロボットが道具等を介して環境との接触状態を制御するためには、手先の力覚情報から把持物体上の接触位置などを推定することが不可欠である。従来手法の多くでは、道具上の接触位置を推定するために道具形状が既知な必要があり、道具形状を必要としない手法も推定が原理的に遅いという欠点があった。一方で本研究では、道具の形状を接触位置と同時に推定することで、最初に形状が未知でも素早く接触位置の推定ができると考えた。 本年度は、複雑な物体形状と接触位置との推定手法の開発に取り組んだ。研究代表者は先行研究にて、粒子フィルタによる接触位置・道具形状の同時推定手法を提案したが、形状が2つ程度の少ないパラメータで表現される場合にしか適用できなかった。形状をグリッドマップで表現しようとすると高次元のパラメータ推定が必要となり、いわゆる次元の呪いによって推定が極めて困難になる。そこで本年度は、粒子フィルタで用いる確率モデルの改良を試みた。形状パラメータの空間に粒子をサンプリングする必要がないように確率モデルを変形することで、結果として、わずか30個の粒子で形状パラメータが160,000次元(40 cm×40 cmの2次元平面を0.1 cm刻みで区切った格子)で表現される場合でも形状を推定することができた。加えて、形状推定を経ることによって、形状情報なしのまま接触位置を推定する手法よりも高精度な接触位置推定ができることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に目標としていた、形状パラメータが高次元な場合の推定手法を確立することができた。素朴な粒子フィルタではパラメータの次元が大きくなるにつれて指数関数的に必要な粒子数が増加するが、本研究の提案手法は形状パラメータの次元数が粒子数よりも極めて大きい場合でも機能する。本年度では2次元平面状の道具のみを扱ったが、パラメータの次元数の観点では挑戦的な課題であり、これを達成できた点で順調である。一方で、力覚信号の瞬時値から得られる情報が少ないため、推定に時間がかかる点が課題である(形状パラメータが収束した後は素早い接触位置推定が可能である)。短時間での形状推定や3次元形状への拡張のためには、事前情報の利用や制御との組合せが欠かせないと考えられ、これが次の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、視覚やロボットの関節角度情報のような力覚以外の情報との統合を図る。力覚センサの瞬時測定値から得られる情報はあまり多くないため、形状などがまったく未知の状態からでは十分精密な推定をおこなうために長い時間がかかってしまう。また、力覚以外の情報が一切得られないことは実用上少なく、利用できる情報を利用することで性能向上が期待できる。さらに、形状推定における不確実性を効率的に減らすような探り動作の提案も目指す。ランダムに環境に接触するよりも、不確実性のあるパラメータの推定に寄与するように環境に接触するほうが素早い接触が可能なはずである。他感覚との統合も効率的な探り動作の計画も、未知変数を不確実性も含めて確率的に推定する本手法の拡張によって達成可能と期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度では当初は2つの力覚センサを購入予定であったが、提案手法の性能評価をベースラインとの比較によりおこなったため単一センサで実験をおこない、その購入予定額を翌年度に繰り越した。翌年度においてセンサを購入し、再度センサ2つでの実験をおこなう予定である。
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