研究課題/領域番号 |
22K14253
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 駿 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (10907695)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 通信環境推定 / 深層学習 / 適応変調符号化 / スペクトル有効周波数分割多重 |
研究実績の概要 |
無線通信網は現代および将来のインフラとしてますます重要性を増しており,周波数資源の逼迫は喫緊かつ重大な社会課題である.近年では効率的な周波数資源の活用方式として,スペクトル有効周波数分割多重(SEFDM)が注目されている.この方式では信号を圧縮し送受信を行うため,圧縮信号間で干渉が生じる問題がある.従来ではこの干渉除去に莫大な計算量を要するため,適応的な制御に必要とされる通信環境情報の高速・高精度な取得が困難であった.そこで本研究では,干渉が与える影響の理論解析を通し,深層学習への最適なSEFDM信号の入力形式の同定を行い,信号に内包される特徴を最大限に抽出することで,干渉除去を行わずに低計算量でかつ高速・高精度な通信環境情報推定手法の創出を目指す.さらにSEFDMとOFDMとの併用を可能にする適応変調符号化制御への応用を行い,高効率な通信方式の確立を図る. 初年度である2022年度は,SEFDMにおける圧縮による干渉の影響の理論解析を行った.周波数方向の圧縮による信号間干渉が受信信号に及ぼす影響に対して,精緻な解析・調査を実施した.その後,干渉存在下の様々な通信路(レイリーフェージング、ライスフェージング)におけるSEFDMによる影響の解析を通し,通信環境情報として信号対雑音電力比(SNR)を推定する場合に畳み込みニューラルネットワークへの受信信号の入力形式として,スぺクトログラム波形が最も高い性能を示すことを明らかにした. これらの成果の一部をまとめたものを国内会議,IEEEジャーナルへ投稿している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の主なテーマであったSEFDMによる信号間干渉の影響の調査と深層学習を用いた初期的な通信環境情報推定手法の実装を完了し,その成果を国内会議で発表し,論文誌投稿を行った.これらのことを踏まえ本年度は当初の計画通りに進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,初年度の結果を踏まえ,無線信号の特質に適った深層学習構造を提案し,SEFDM信号を適用した場合における性能評価を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の異動により、購入予定であった設備・ソフトウェアが共同で利用可能となったことが理由として挙げられる。2023年度はシミュレーションを中心に研究を遂行するため、これに関わる計算機の購入や国際会議参加登録費・論文掲載費としての利用を予定している。
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