研究実績の概要 |
本研究では、依存関係のあるデータ系列に対する変化点検出問題、分類問題、予測問題、パラメータの推定問題等に対して、高性能データ圧縮法のひとつであるベイズ符号の理論研究成果と効率的データ圧縮アルゴリズムを応用することにより、分類誤り率や予測の2乗誤差などの数式に対する数学的に正確な理論解析を行うとともに、ベイズ決定理論に基づく理論最適性を保ちつつ効率的なアルゴリズムを構築することが目標である。この目標に対して、今年度は以下の成果を得た。
1)依存関係のあるデータの一例として文脈木情報源から発生するデータがある。この文脈木情報源が区間毎に変化するような非定常情報源に対して、効率的なベイズ符号化法を構築した。さらに、この手法が変化点検出問題に対しても有用であることを発見した。得られた成果は、IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences Vol.E107-A(3) 2024年3月号に掲載された。 2)文脈木情報源に対するベイズ符号のハイパーパラメータの決定手法について研究し、得られた成果は2023 IEEE International Symposium on Information Theory(台湾、台北)にて発表した。 3)ベイズ符号は、ベイズリスクを最小にするような符号化確率を用いてデータを圧縮するものである。このベイズリスクの下界を統一的に理解する枠組みを提案し、IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences Vol.E107-A(3) 2024年3月号にて発表した。
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