研究課題/領域番号 |
22K14267
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
飯谷 健太 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (00853045)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バイオセンサ / ガスセンサ / 電界紡糸 / エタノール / 蛍光計測 / アルコール脱水素酵素 |
研究実績の概要 |
ヒトが無意識化で定常的に放出する汗や経皮ガス中には血中由来化学成分が含まれ、これを検出することで疾患スクリーニングや代謝評価への応用が可能となると考えられる。本研究課題では、経皮成分の濃度分布情報を光情報へと変換する「光バイオセンサメッシュ」について酵素を含む高分子溶液を体表に直接電界紡糸することで作製し、三次元イメージングシステムと組み合わせて体表面の広い範囲を対象に経皮成分の三次元空間分布の記録を目指す。 2022年度は、酵素を含む高分子溶液を電界紡糸法により繊維化し、その繊維を堆積させる「光バイオセンサメッシュ」の作製およびその特性評価へと取り組んだ。結果として、水溶性高分子ポリビニルアルコールを含む市販糊にアルコール脱水素酵素(ADH)および酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を混合して電界紡糸した「光バイオセンサメッシュ」において、エタノール負荷に応じて還元型NAD (NADH)がADH触媒反応により生成され、NADHを蛍光検出(励起光340 nm、蛍光490 nm)することが可能であった。また、エタノール負荷部特異的にNADHが生じるため、イメージングにも適用可能であった。高分子溶液のpHや混合するNAD+量、ADH量を変化させることでエタノール負荷に対する応答を調整可能であり、電界紡糸された繊維中のADHが酵素活性を維持した状態であることを示した。本研究成果は、国際雑誌Biosensors and Bioelectronicsに掲載され、東京医科歯科大学および早稲田大学からプレスリリースを行った。本技術は、本研究課題の遂行の基盤となるもので、今後この「光バイオセンサメッシュ」を体表に展開して経皮放出成分の三次元的なイメージングを進めることが可能となったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度中に高電圧電源、自作シリンジポンプ、そして3Dプリンタを改造ベースとして、所属研究室にて電界紡糸が可能な環境を構築した。また、これらの装置を用いて、酵素および補酵素を含有した「光バイオセンサメッシュ」の作製およびその特性評価を進行できた。研究成果は、国際誌 Biosensors and Bioelectonicsにて発表し、また2023年6月に韓国で開催される国際会議Biosensors 2023における口頭発表に採択されている。開発した「光バイオセンサメッシュ」により、得られる蛍光強度の分布を三次元的に観察するためのステレオカメラ系および三次元スキャナを用いた実験系についても構築を開始している。以上より、本研究課題は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、「光バイオセンサメッシュ」について、三次元計測を実施する。最終的にはヒトでの計測応用を実施する予定であるが、その事前実験として三次元物体から放出されるエタノールガスの三次元イメージングを試みる。また、光バイオセンサメッシュの計測対象分子の拡大へ向けて、今回用いたアルコール脱水素酵素以外の検出反応系を組み込んだ「光バイオセンサメッシュ」の作製について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画で導入を予定していたシリンジポンプについて、メーカー納期が今年度中に間に合わず、次年度使用額に加算された。次年度使用額にて2023年度に当シリンジポンプの導入が可能であると見込んでおり、2023年度分として予算計画を達成できるものと考える。
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