研究課題
ヒトが無意識化で定常的に放出する汗や経皮ガス中には血中由来化学成分が含まれ、これを検出することで疾患スクリーニングや代謝評価への応用が可能となると考えられる。本研究課題では、経皮成分の濃度分布情報を光情報へと変換する「光バイオセンサメッシュ」について酵素を含む高分子溶液を体表に直接電界紡糸することで作製し、三次元イメージングシステムと組み合わせて体表面の広い範囲を対象に経皮成分の三次元空間分布の記録を目指した。2023年度は、2022年度に開発した「光バイオセンサメッシュ」の作成方法についてさらなる検討を行った。酵素を含むポリマー繊維を射出するスピナレットをxy平面上で走査することで大判の「光バイオセンサメッシュ」の作成が可能となるが、このとき様々な走査方法を比較し、アルキメデス螺旋に基づく走査方法を適用することで装置の可動範囲を最大値とする大判光バイオセンサメッシュ(Φ100 mm)を繊維密度の均一性を保って製造できた。これは身体表面やその他の3次元物体の表面に光バイオセンサメッシュを展開して化学物質の分布計測を実施する際に有用である。また、ヒトでの計測の前段階として、果実から放出されるエタノールガス分布の評価を実施し、保存期間の経過に応じて放出されるエタノール濃度が増加し、またその濃度分布は果実の特性に応じて生じていることを観察した。これら成果は、メッシュを用いたガス分布評価がヒトの健康状態のみならず、果実などの様々な3次元物体の内部状態の化学的評価に有用であることの一端を示したと考える。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件) 図書 (2件)
Sensors
巻: 23 ページ: 5857~5857
10.3390/s23135857
Journal of Advanced Science
巻: 35 ページ: n/a~n/a
10.2978/jsas.35301