研究課題/領域番号 |
22K14279
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
豊田 充 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (40826939)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 制御理論 / 最適化アルゴリズム / 平滑化法 |
研究実績の概要 |
当該年度は,必ずしも微分可能でない関数を目的関数とする最適化問題において,目的関数を微分可能な関数で近似する平滑化法の研究,その中でも特に平滑化の度合いを段階的に低減させていくことで最適値および最適解への収束を図るタイプのアルゴリズムの解析に取り組んだ.具体的な内容は以下のとおりである. (1) 目的関数を平滑化して勾配法を適用する平滑化勾配法と,その連続時間微分方程式としての表現である平滑化勾配流の関連性に着目して収束解析を行った.両者に対して,システムのある種のエネルギーを規定するリアプノフ関数と呼ばれる関数を平滑化の影響を考慮した形で導入し,類似した形の関数形によって収束解析がなされることを指摘した. (2) 最適化アルゴリズムの性能の評価においては,目的関数がどれくらいの速度で減少するかという点について収束率が重要な指標となるが,具体的な反復回数で収束率が評価できる平滑化勾配法(離散時間系,差分方程式)に対して,平滑化勾配流(連続時間系,微分方程式)は何からの離散化を経て数値積分されるため,平滑化勾配法と同等の評価指標でのアルゴリズムの評価が難しい.この点に対して,実際に数値積分を行う際の計算量の観点から平滑化勾配法との比較検討を試みた.特に,平滑化勾配法が平滑化勾配流の前進オイラー法による離散化に対応することに注目し,収束率や数値積分する際の時間軸といった観点から考察を行った.加えて,平滑化勾配流の知見を用いて,平滑化勾配法のステップ幅の設計則の検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のとおり,平滑化勾配法と平滑化勾配流の離散化とその際のステップ幅の考察といった点で初期的な結果が得られ,これらの内容について口頭発表を実施した.引き続き結果の整理を行い,次年度以降の論文投稿および理論研究のさらなる発展を図る.
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今後の研究の推進方策 |
今年度研究結果の成果発表を継続して実施する.研究内容に関しては,加速と呼ばれる収束率を改善するための手法を適用した種々のアルゴリズムに対して,上述の離散系と連続系の収束率やステップサイズといった対応関係や類似点を用いた考察ができないか検討を行いたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた設備購入や学会発表に遅延が生じ今年度中の使用に至らなかった.次年度に引き続いて研究環境構築および成果発表を実施する.
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