研究実績の概要 |
提案するスタック型部分等化技術を取り入れた歪補償回路を検討した. 提案歪補償回路はクリッパにより入力波形を上下に分割した後, Feedforward Equalizer (FFE) 回路で各波形を個別に補償する. また, 中間電圧を閾値とするコンパレータの出力波形をマルチプレクサの信号選択動作に使用し, 補償された上下の波形を組み合わせ,PAM4符号の波形を再構成する.スタックなしの従来のFFE回路ではPAM4符号に対応するためには広い線形性が要求されるが, 提案構成では上下に分割されるため同等の波形補償に必要な線形性はおよそ 1/2 に緩和できことを回路シミュレーションにより確認した. 従来及び提案する歪補償回路の補償量は,伝送線路の劣化度合いに応じて適切な強度で与える必要がある.そこで,劣化度合いに対する最適な補償量の理論体系の構築と,数値解析を行った.伝送線路及び歪補償回路を伝達関数として数理モデル化し,単位ステップ応答波形を,逆ラプラス変換を用いて導出した.得られた式を用いた目的関数をNewton法によるヒューリスティックな解法で解くことで劣化度合いに対する最適な補償量が導出できることを確認した.
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