研究課題/領域番号 |
22K14300
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 大輔 岐阜大学, 工学部, 助教 (90759250)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | スタック型部分等化技術 / フィードフォワードイコライザ / 自動利得制御 |
研究実績の概要 |
提案するスタック型部分等化技術を取り入れた歪補償回路を検討した. 提案歪補償回路はクリッパにより入力波形を上下に分割した後, Feedforward Equalizer (FFE) 回路で各波形を個別に補償する. また, 中間電圧を閾値とするコンパレータの出力波形をマルチプレクサの信号選択動作に使用し, 補償された上下の波形を組み合わせ,PAM4符号の波形を再構成する.スタックなしの従来のFFE回路ではPAM4符号に対応するためには広い線形性が要求されるが, 提案構成では上下に分割されるため同等の波形補償に必要な線形性はおよそ 1/2 に緩和できる. 提案技術の実現可能性を検討するため,集積化に向けた詳細回路設計及び予備試作を行った.予備試作では,提案回路において特に重要な,クリッパによる波形分割・抽出回路及び抽出した波形を補償するFFE回路を取り入れた.試作回路はオンウェハプロービングによる電気評価を行い,入力信号を上位・下位に分けて抽出し,補償を行うスタック型部分等化の基本動作が確認できた.また,アクセスネットワークシステムでの利用に向けた,フィードフォワード制御によるパケット通信対応高速応答制御回路を検討した.アクセスネットワークの収容局受信器では,パケット毎に異なる波形劣化に対応した適応的な補償を行う.しかし,歪補償回路は補償量に応じて出力信号振幅が変化する特徴を持ち,振幅の変化は特にPAM4信号において大きな課題となる.そこで,高速応答性を損なわず,一定の振幅に揃えるための線形増幅を可能とする自動利得制御回路を検討した.従来のフィードバック制御では,大きな時定数が必要となり高速応答性を損なう.そこで,補償量制御回路の出力信号に応じて利得を可変することで応答時間を増加させることなく利得を変化させる制御技術を検討した.回路シミュレーションによる検証結果から,応答時間を10%以下のオーバーヘッドで出力振幅を一定化できる見通しを得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の研究計画は下記である. 1) 波形モニタ回路及び歪補償回路の適応制御技術の基礎検討 2) 提案回路のパケット通信対応化のための詳細構成の検討 3) 高速自動制御回路の集積化設計・試作及び動作検証 1) に関しては,適応的な歪補償量制御回路の実現に向けた,歪量定量化回路の検討を実施した.アナログフィルタにより,歪が顕著に現れる周波数成分を抽出することで,高速データ信号から波形の歪量を把握することに成功した.今後,本回路の集積化可能性を検討するための詳細回路設計を進める予定である.2) 昨年度,CTLE 回路を例としたフィードフォワード制御によるパケット通信対応高速応答制御回路を検討した.CTLE回路では,補償量に応じて出力信号振幅が変化する特徴を持つ.これは,特にPAM4信号において大きな課題となる.そこで,高速応答性を損なわず,一定の振幅に揃えるための線形増幅を可能とする自動利得制御回路を検討した.3) これまでに検討した,PAM4符号対応スタック型部分等化技術の基本動作原理を検証した.提案技術の集積化可能性を検討するため集積化のための詳細回路設計及び,試作を行い,実回路測定による動作原理検証を行った.検証結果より,入力信号を上位・下位に分けて抽出し,補償を行うスタック型部分等化の基本動作が実回路にて確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの達成度から,今後は以下に記す研究を遂行する. 1) 提案回路のパケット通信対応化のための詳細構成の検討 2) 高速自動制御回路の集積化設計・試作及び動作検証 3) アクセスネットワークシステムでの有用性を評価
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次年度使用額が生じた理由 |
試作回路の測定のためのオンウェハプローブを既存のもので代用したため,その予算 62,984円が生じた.当該予算は,次年度に,新たな試作チップ測定用のオンウェハプローブの調達に用いる予定である.
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