研究課題/領域番号 |
22K14313
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
He Xinhao 東北大学, 工学研究科, 助教 (20899091)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 免震構造 / 橋梁 / 地震工学 / ロッキング挙動 / 補修と補強 / 耐震性能評価 |
研究実績の概要 |
従来の免震支承は、ゴム系とすべり系の2種類に分類されています。本研究では、これまでにない革新的な免震支承システムを提案しております。今年度は、提案したロッキング支承を用いた橋梁の力学特性と免震効果の解析に重点を置いて取り組みました。具体的な研究成果は以下のとおりです。 a)提案した免震支承を用いた橋梁システムに対し、理想的な状況下で理論的な誘導を行いました。支承の1方向ロッキング振動が発生する場合、その復元力特性やエネルギー吸収特性(等価減衰)を定量化しました。そして、適切な設計パラメータを設定することで、レベル2の設計地震動において支承の免震効果(橋脚の応答低減率)が確認できることを明らかにしました。 b)応答低減効果を評価する指標の一つである橋梁の振動応答における位相特性を検討しました。特に、様々な正弦波が入力された場合、上部構造と下部構造の振動間の全時間平均位相差は、理想値90度と比較して約70度となりました。これは優れた地震応答低減効果の可能性を示していると考えます。今後、地震動の特性を考慮に入れた継続的な検討を行う予定です。 c)提案した支承の構造実現とその詳細に関して、支承のロッキング振動を安定的に発生させるため、反力集中点である支承底板の接触面端部の回転中心について2種類の形状を提案しました。さらに、設計想定を超える地震動が発生した場合、支承のロッキング運動が一定値を超えて転倒する可能性があるため、その転倒を制御可能な構造も提案しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免震支承の耐震性能評価において、重要な指標である復元力特性とエネルギー吸収を定式化することは、非常に重要であります。特に、レベル2地震動(最大設計地震動)においても免震効果が確認できることは、将来の応用やさらなる発展にとって重要であると言えます。このような理由から、今年度の研究進捗は全体として順調に進展していると評価できます。
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今後の研究の推進方策 |
想定外地震時であっても提案する免震支承システムが有効であることを検証する予定です。また、本免震支承システムの応答制御効果を最大限に発揮するために、最適なロッキング支承の設計値を明確する予定です。さらに、将来的には全方向への応答制御が可能なロッキング支承への拡張も検討していく予定です。これにより、より高度な安全性と耐震性能が期待できる免震支承システムの開発に貢献します。
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