研究課題/領域番号 |
22K14317
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
本間 小百合 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (60772499)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 薄鋼板 / 鋼材ダンパー / ねじれ挙動 / 木造軸組 |
研究実績の概要 |
小規模な軸組構造に対するねじれ座屈挙動の変形能力を活用した制震ダンパーの力学的挙動を明らかにすることを目的とし、これについての研究に着手した。鋼材の変形能力を活用するこの手のダンパーでは、抵抗部が制震ダンパーとして機能することで、地震時に建物の水平加重を抵抗部(ダンパー部)が担う効果が期待される。そのため、抵抗部の安定した挙動が求められる。しかし、木造軸組のように接合部(仕口部)の剛性が弱く、建物全体の変形性能が期待できないような建物に対しては、抵抗部の変形能力を小振幅時から発揮させ、抵抗部を早期に降伏させることが必要である。 そこで、ダンパー部が木造軸組よりも早期に降伏するように、ダンパー部の板厚を極端に薄くしたものを試みた。板厚を薄くしたことで、低荷重でのダンパー部の降伏は得られたが、ダンパー部にねじれ座屈が伴うことを確認した。令和5年度においては、令和3年度で得た有限要素解析の結果を基にダンパー部のみの試験体を作製し、繰り返し載荷実験を行った。その結果について、令和5年度までに実施した有限要素解析の結果とダンパー部の繰り返し載荷実験結果を整理し、令和6年度に開催される世界地震工学会議において研究結果を報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画2年目での主な目的は、ねじれ座屈を伴う制震ダンパーに対して、解析で得られたねじれ後の挙動を実験においてもその現象を確認することであった。ダンパー部の繰り返し載荷実験を行った所、実験においても、ねじれ後の安定した繰り返し履歴が得られた。また、今回の繰り返し載荷実験では、ダンパー部のねじれ挙動に対してはより厳しい状態となる固定度の低いピン支持の状態で行ったため、ねじれ挙動については、純粋なねじれ挙動が計測できたと考えられる。 このねじれ座屈の要因の一つに、抵抗部の板厚が極端に薄いことが考えられるが、抵抗部の拘束条件によってもその影響があるため、最終年度においては、実際の木造軸組に取り付く状態を解析条件に加えて検討したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度における繰り返し載荷実験では、ダンパー部のねじれ挙動に対してはより厳しい状態となる固定度の低いピン支持の状態で行ったため、ねじれ挙動については、純粋なねじれ挙動が計測できたと考えられる。 このねじれ座屈の要因の一つに、抵抗部の板厚が極端に薄いことが考えられるが、抵抗部の拘束条件によってもその影響があるため、最終年度においては、実際の木造軸組に取り付く状態を解析条件に加えて検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度において、骨組実験及び研究報告のための論文投稿費を予定しているため、今年度においては、最低限の実験に止めて、その代わり本年度では、解析の方を充実させたため。
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