研究課題/領域番号 |
22K14337
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂井 勝哉 大阪大学, 大学院工学研究科, 特任講師(常勤) (80774778)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 電気自動車 / 電力消費モデル / 均衡モデル / 充電行動 / 動的料金 |
研究実績の概要 |
電気自動車(EV)が普及した道路交通システムにおいて,交通渋滞および充電ステーションの混雑の両者を包括したマネジメントのためのフレームワーク構築を前提として,今年度は以下の2点を実施した. 1点目は,混雑を記述するモデルの構築である.充電機会選択問題を経路選択問題の枠組みに落とし込み,出発時刻選択として定式化を行った.特に今年度に開発したモデルは,バッテリー容量が小さい安価なEVを通勤に使用する想定の均衡モデルである.充電機会選択に関するアンケート調査を行い,ドライバーの行動に則した効用関数についても考察した.EV普及過程における最適な道路容量配分についての分析や,朝時間帯と夕方時間帯における最適な動的充電料金の分析を通して,本モデルがEVの交通システムにおいて合理的に機能することを確認した.この成果の一部は国際学会ACRS (Asian Conference in Regional Science)で発表されている. 2点目は,数値シミュレーションを行うための準備として,電気自動車の電力消費モデルの構築である.既存の動力学モデルを基に,EVの走行に必要な電力量を推定し,1日トータルの累積値で数%の誤差に収まる精度であることが確認できた.また,EVにおける空調の消費電力量が少なくないことから,最高気温を説明変数とした線形回帰モデルを構築・検証した.このことは,最終年度にEVシミュレーションを行う際の重要な知見である.この成果の一部は電気学会電力・エネルギー部門大会で発表されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EVの充電機会選択を含んだ均衡モデルが定式化でき,充電行動のパラメータに関する調査も終了している.また,翌々年度に行う数値シミュレーションのためのEV電力消費量モデルの開発も終えており,当初の予定通り,順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2年目では,1年目に開発した充電機会選択・出発時刻選択の均衡モデルを基に,充電ステーションの配置に関する問題へモデルを拡張する.引き続き,研究開発動向のレビューを行い,翌年の数値シミュレーションに向けた設計を行う. 3年目は,2年目で構築した充電ステーション配置シナリオに基づいてミクロネットワークシミュレーションを行う.電気自動車の普及と交通ネットワーク・充電ステーションの混雑について定量的に評価する.
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