研究課題/領域番号 |
22K14366
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
額 日登敖其尓 東京理科大学, 工学部建築学科, 助教 (50880770)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ポーラスコンクリート / 非破壊試験 / 超音波法 / 打音法 / 空隙率 |
研究実績の概要 |
ポーラスコンクリートは、施工時の締固め程度等により空隙率が変わり、品質が左右するため、その空隙率評価は非常に重要である。一般的には、構造体から採取されたコア試験体など用い品質管理を行うが、作業が大変または採取後に構造体に傷が残るなど問題があり,より簡便で高精度なポーラスコンクリートの品質評価法の開発が求められている。本研究では、ポーラスコンクリートの振動・波動特性を着目して、超音波法および打音法など方法を用いて、その空隙率を推定し, 品質評価を行う非破壊検査手法の開発を目的としている。 研究初年度は、主に、打音法によるポーラスコンクリートの品質評価に関する実験を中心に研究を進めており、様々デバイスを用いてイントネットを経由でコンピュータ資源を利用できるグラウドコンピューティングによる音響分析を打音法に適用し、低コストで簡単に、インターネットに接続可能であれば、どんな端末でもポーラスコンクリートの固有振動数および動弾性係数を一瞬で測定できる方法を提案し、従来の打音法と比較して、測定結果の妥当性を確認した。また、グラウドコンピューティングを用いた打音法によるポーラスコンクリートの固有振動数および動弾性係数の測定結果に及ぼす測定端末の種類の影響、打撃音の録音用の外付けマイクを有無による影響および骨材粒径の影響などについて検討した。その結果、グラウドコンピューティングによる打音法の測定結果を従来法による測定結果と比較すると、ほとんど一致しており、その妥当性が確認された。また、グラウドコンピューティングを用いた打音法によるポーラスコンクリートの固有振動数および動弾性係数は、各デバイスの種類及び外付けマイクあり・なしによる影響をほぼ受けないことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、ポーラスコンクリートの振動・波動特性を着目して、超音波法および打音法など方法を用いて、その空隙率を推定し、品質評価を行う非破壊検査手法の開発することである。初年度の研究では、従来の打音法の実験に加えて、グラウドコンピューティングを用いたことにより打撃音の録音、分析をクラウド上で実施できる方法を提案し、その測定精度を確認できた。したがって、打音法の場合は、ほぼ完成に近いと言え、当初の計画を上回る進捗を達成している。一方、超音波法による品質評価に関する実験はまだ十分に進行しておらず、当初の計画よりも遅れている。しかし、全体の研究進捗を総合的に評価すれば、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
超音波法によるポーラスコンクリートの品質評価に関する実験では、骨材粒径やその種類、および空隙率が超音波伝播速度に及ぼす影響を検討する予定である。最短経路の探索手法を活用して、ポーラスコンクリート内部を伝播する超音波の伝播特性を明らかにすることを目指している。 一方、打音法によるポーラスコンクリートの品質評価に関する実験では、昨年度にクラウドコンピューティング技術により固有振動数を容易に評価できる方法を開発した。しかし、この方法はプログラミングの基礎知識がある人々向けのものである。そのため、プログラミングの知識がなくても利用できるようにするため、引き続きアプリの開発を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
超音波試験機器に要する設備備品費を見積もっていたが、本年度は打音法の実験を中心の行ったため、この予算は執行しなかった。そのため、 次年度に行には超音波速度試験の設備の購入代として使用する。また、研究成果を公開するために、国内外の学会の参加費用および論文投稿費に使用する。
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