研究課題/領域番号 |
22K14373
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
伯耆原 智世 早稲田大学, 理工学術院, 専任講師 (70908061)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 木質構造 / 火災 / 含水率 / スギ / カラマツ / 熱分解 / 冷却後 / 異方性 |
研究実績の概要 |
耐火構造・準耐火構造による木質構造部材の開発に向けて、火災後の継続利用も視野に入れ、特に加熱終了後の燃え進みを予測するための木材の高温時の熱物性や力学的性能の把握を目的とした基礎研究である。 【火災加熱を受ける木材の温度・含水率に対する樹種や加熱方向の影響】火災加熱を受ける木質部材の力学的性能への影響要因として水分移動が挙げられる。そこで、コーンカロリーメータを用いて、スギ・カラマツ小試験体を半径、接線、繊維方向で加熱して温度・含水率を測定し、樹種、加熱方向の違いが温度、含水率に及ぼす影響を把握した。100℃以下ではスギがカラマツより温度が上昇しやすく、その傾向は繊維方向加熱で顕著であることを確認できた。 【木材の水分脱湿速度の測定と水分吸脱着現象のモデル化】火災加熱を受けた木質部材の強度低下要因の1つに内部水分の短時間の吸脱湿現象の影響が考えられ、熱水分移動の予測手法が提案されている。本研究では、複数の温湿度条件下でスギ薄片試験体の脱着速度を測定し、脱湿速度が温度の上昇に対して顕著に増加することを明らかにした。また、実験に基づき熱水分同時移動解析モデルの吸脱着速度及び吸脱着潜熱を改良した。 【火災加熱を受ける木質構造部材内部における木材の熱分解時の熱収支のモデル化】木材は、200℃以上になると熱分解による不可逆的な力学的性能の低下が起こることがわかっているが、その熱収支については未だ解明されていない。本研究では火災加熱を受ける木質構造部材内部における木材の熱分解時の熱収支のモデル化を目的として、木材を構成する三種類の有機成分の熱分解量に応じた発熱量を加えて温度推移を算出し、熱分解時の発熱量の正負が温度推移に与える影響を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度には、当初から予定していた木材の繊維方向の異方性及び樹種をパラメータとして小型加熱試験を行い、木材内部の熱移動及び水分移動の計測を進めた。更に、2022年度中に次年度に予定している火災加熱冷却後の熱水分移動が力学的性能に与える影響を把握するための予備実験についても進めており、次年度に向けて順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
木材の火災加熱冷却後の熱・水分移動が、力学的性能に与える影響を把握するための加熱試験を行う予定である。火災加熱により、一旦は絶乾状態(含水率がゼロに近い状態)になった木材が一定時間経過後、再び気乾状態(大気中の湿度と平衡を保った状態)に戻った場合の木材を試験体として用い、加熱・冷却による水分移動が力学的性能に与える影響を把握する予定である。さらに、2022年度の予備実験では、加熱により平衡含水率の不可逆性や含水率と炭化速度の影響についても示唆されたため、実験的に検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試験体数を整理し、既存木材を利用した試験体制作を行ったため、次年度使用額が生じた。 翌年度に、加熱・冷却による水分移動が力学的性能に与える影響の把握実験に加えて、予備実験によって示唆された、加熱により平衡含水率の不可逆性や含水率と炭化速度の影響についての実験実施に使用予定である。
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