研究課題/領域番号 |
22K14383
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 詩乃 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任助教 (00772922)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スローストリート / アクティブトランスポーテーション / インクルージョン / 健康増進 / 低炭素化 / X min City |
研究実績の概要 |
今年度は、まず、スローストリート概念と関連施策について、文献調査、学会参加およびヒアリングを通じた海外専門家との意見交換による情報収集、その内容の取りまとめを基礎調査として実施した。具体的には、EU圏域での複数施策と相互の影響、WHOによる関連キャンペーンの状況、これら施策と連携関係にあるX min city構築に係る都市政策とその課題に関して調査・分析を行った。 以上の結果より、プレイスベースドプランニング/プレイスフォーカスドプランニングによる都市計画行政、行政政策に対する社会受容の形成とともに、機運を醸成するような広幅員街路周辺の地元主導のビジョン提案の重要性を明らかにし、日本国内の課題に焦点を当てて、分析を行った。分析対象地は東京都都内とし、まず、①スローストリート概念が重視するアクティブトランスポーテーションのなかでも、日本国内で社会受容に課題のある自転車利用者(特に、脆弱性の高い子ども乗せ自転車の利用者)に対するwebアンケート、およびこれらの利用者に対する教育提供状況、自転車メーカーに対するヒアリングを実施した。また、研究代表者が既存の手法を組み合わせて考案した②広幅員街路の再配分に向けた地域主導のビジョン形成に資するワークショップ手法の構築と改良を行った。 これらの研究結果については、学会報告書への招待寄稿、国際学会発表・投稿を行った。さらに、2023年度の上半期において学会投稿(国際ジャーナルおよび国内学会誌各1件)を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の成果より、取りまとめに向けて焦点を当てるべき実例および明らかにすべき課題を把握した。また、関連学会においてもフィードバックをいただいため、効率的に研究を遂行することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、国内での導入ケースの検討を中心に行う。 2022年度の成果では、導入に向けた手続きおよびデータセットの公開(世論の経年変化を見越した意思決定、地元主導のアクティブトランスポーテーション推進に資するdata democratization)の重要性を明らかにしたため、最終年度は、実装に向けた対象空間選定のあり方とそのシナリオに焦点を当てる。 まず、施策の波及効果および交通需要の変化に関するローデータに関して調査・入手するために、EU圏において影響力のあった施策に対して現地調査し、関係者へのヒアリングを行う。 その上で、日本国内の導入可能性のある地域の条件を整理し、ケーススタディ対象地(3都市選定)において、街路空間および沿道街区の空間要素、滞留人口・人流に関するデータ等から、スローストリート導入シナリオを設定し、導入効果の推計を行う。これらの結果を総括して、日本国内におけるスローストリート実装に向けたガイドラインを提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定していたヒアリングに関する謝金が発生せず、その分が次年度使用額として生じた。2023年度は、追加ヒアリングが多数想定されるため、その一部として使用する予定である。
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