研究課題
モータリゼーション以降、道路の段階構成上位の広幅員街路では自動車交通処理を主眼とした設計と運用がなされてきたが、コロナ禍を機に、都心を中心に市街地全域の街路運用を大きく見直し、広幅員街路にも交通静穏化を導入する都市が増加した。R5年度(最終年度)では、コロナ禍以前から、市街地内の原則30km/h規制を導入しつつあった欧州都市の先進政策を対象に、専門家ヒアリング、文献調査および現地調査を行い、その結果から「スローストリート」概念の構成要素と、それに伴う街路の設計要件を明らかにした。また、日本国内(富山市富山駅およびその周辺空間)を対象とした、A Iカメラによる歩行者観測データの時系列分析によって、駅前広場の活用が活発になされた際に、歩行者動線に配慮した、面する広幅員街路のシームレスな整備の有無が、駅からまちへのにぎわい波及を左右する要因であることを定量的に明らかにした。これらの研究結果について、土木学会・土木計画学大会で発表を行った。得られた知見に基づき、東京都表参道地区の広幅員街路およびその周辺街区に対して、次代の設計指針を提言する書籍を出版・公開予定である。2ヵ年を通じて、本研究は、これらの都市に共通する「スローストリート」概念を体系化した。都心区域広幅員街路へ同概念の実装を行うことで「市民の移動、活動の選択肢と質が改善され、都市の包摂性を高める効果が得られる」という仮説について検証を行った。以上から、次代の広幅員街路およびその周辺街区の設計運用指針を構築することに一定の成果を得た。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
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