研究課題/領域番号 |
22K14388
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
パク ミンジョン 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80881094)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ハンセン病療養所 / 施設利用 / 入所者 / らい予防法 / 隔離政策 |
研究実績の概要 |
本研究では、国内のハンセン病療養所の施設利用の変遷と利用者の認識の変化に着目し、社会のニーズに対応して多様化する療養所の利用形態を明らかにするとともにその活用方法が今後の療養所の在り方に与える影響について療養所間の比較を行うことを目的とする。 入所者の高齢化が進み、近い将来療養所としての機能が失われることが予想される中、全国の療養所では本来の機能とは関係のない新しい施設が整備されるようになった。各療養所が発行している各種文献及び現地調査から、新設された施設の①用途、②利用者の側面から分類を行い、療養所別、時代別の変遷を明らかにした。また、該当施設が新築なのか既存の建物を改修したものなのかについても調査を行った。その結果、新たな施設が建設される背景には、入所者らの意思や法制度が大きく関わっていることが明らかになった。具体的には、らい予防法廃止運動やらい予防法違憲国家賠償請求訴訟を経て差別を恐れて沈黙を守ってきた入所者らの意識に変化が生じたこと、らい予防法廃止後に制定されたらい予防法の廃止に関する法律やハンセン病問題の解決の促進に関する法律によってハンセン病に対する啓蒙活動や関連施設の設置根拠が整ったことなどがあげられる。また、これらの変化に追随するように地域住民や自治体を巻き込んだ療養所施設並びに各種史料の保存活動が繰り広げられるなど入所者がいなくなっても療養所の記憶を残すための活動にも結び付いている。さらに、かつてはNIMBY(Not In My Back Yard)施設だった療養所が地域住民の外来を受け付けたり、憩いの場や研修施設として活用される事例も見られるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地調査及びインタビュ―調査において当初の計画より遅れが生じている。これは新型コロナウイルス感染症による前年度からの影響で、施設によっては予防対策として引き続き訪問に制約が設けられているところもあり、依然として厳しい状況である。
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今後の研究の推進方策 |
可能な範囲で全ての調査対象機関の現地調査を実施するが、協力が得られなかった場合には、文献調査や調査票による調査を代替手段として計画している。また、航空券価格の高騰や円安によって前年度の実施を保留していた国外調査についても年内に実施する。 具体的には、これまで実施した調査結果から各療養所の特徴を整理し、共通点や相違点について考察するとともに、諸外国事例との比較を試みる。そして施設利用形態の多様化の実態と影響、今後の療養所像に関する提言をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査実施に制約があり、一部調査計画を見直したことから旅費に余剰が発生している。繰り越した予算については、今年度計画している国内外での調査で使用する予定である。加えて、異動により所属機関が変わったことから研究補助員を確保することができず、人件費・謝金においても計画通りに予算を執行することができなかった。今年度は所属研究室の協力を得て積極的に活用する予定である。
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