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2022 年度 実施状況報告書

イタリアにおける「共編集」概念を用いた都市デザイン手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K14398
研究機関東京都立大学

研究代表者

益子 智之  東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (00875362)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード都市総合計画 / 都市環境の質の向上 / 関係主体の参画 / 計画策定過程 / イタリア
研究実績の概要

2022年度は、「都市と環境の質の向上に資する都市総合計画の策定過程の把握」、「都市総合計画の策定状況を踏まえた研究対象候補都市の選定」を行うことを目的として、調査・研究を行なった。
第一に、都市総合計画(Piano Urbanistico Generale)の策定過程を把握するために、都市計画州法を改定した2017年第24号州法と関連資料の文献調査を実施した。都市総合計画は、基礎自治体の各種計画を体系化する上位計画であり、都市域での新たな土地の消費を抑え、持続可能性を高める戦略により都市環境の居住性等の質の向上を目指すために策定されるものである。コムーネは、2023年1月までに同計画の策定を義務付けられ、1つの自治体だけでなく、複数の自治体(Intercomunale)や自治体連合(Unione dei Comuni)を単位として将来像を描くことが可能であり、行政区域を超えた地域の実情に応じたヴィジョン策定を推進するものである。計画策定過程は、①計画室の設置、関係主体の参画による原案作成、②評議会での原案の審議と市民への公告・縦覧、市議会での認可、③州都市計画委員会での審議、計画の修正、市議会での承認、の3段階に分けられていた。
第二に、研究対象都市の候補を選定するために、州内全ての基礎自治体(348コムーネ)のHPで計画図書を閲覧するインターネット調査を実施した。その結果、21コムーネが2023年1月時点で都市総合計画の認可を受けており、約6%の自治体のみが州の定める計画策定期限を遵守していた。計画認可を受けていた21のコムーネのうち、ボローニャなど13コムーネは単独で策定し、5つのコムーネは自治体間で策定し、3つのコムーネは自治体連合で策定していた。今後、都市の人口規模等を考慮しつつ、構想された将来像と戦略を定性的に分析し、「共編集」の実践が想定される対象都市を選定する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は、文献調査により都市デザインプロセスにおける「共編集」行為の実践が想定される都市の候補を選定した。公的に設定されている計画策定期限は2023年1月末であり、全体の6%のコムーネのみしか期限を遵守できていなかった。計画策定を行う5年間(2018-2023)は、新型コロナウィルス感染症流行下の時期を含む困難な時期であったと想定される。2023年1月時点で計画認可を受けていたコムーネは、オンライン型のワークショップなど参加形態を工夫し、参加型過程をコーディネートしたと推察される。よって、参加形態の観点からも、研究対象候補として選定した21コムーネの計画図書を分析することが求められる。また、ポストコロナ期から、計画策定を開始したコムーネも存在することから、今後認可を受けるコムーネの計画図書の調査継続を要する。
以上により、本研究課題において、2022年度中に実施予定であった公的な計画策定過程の把握と研究対象候補都市の選定を行えたことから、2022年度の進捗状況は、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

2022年度の進捗状況を踏まえ、今後の研究では、21のコムーネの計画図書を定性的に分析し、研究対象都市を確定する。将来像、戦略、参加形態の3つの観点から分析を行い、特に原案作成の段階において「共編集」行為が実践された事例を同定する。また、参加型計画策定過程の分析では、州政府の補助金を受けて実施しているコムーネもみられることから、同補助金を受けて作成される参加型提案文書(DocPP)を質的データ分析の対象として加えることとする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 図書 (1件)

  • [図書] ウォーカブルシティ入門2022

    • 著者名/発表者名
      ジェフ・スペック(Jeff Speck)、松浦 健治郎、石村 壽浩、内田 晃、内田 奈芳美、長 聡子、益子 智之
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      学芸出版社
    • ISBN
      4761528249

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公開日: 2023-12-25  

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