研究課題
本研究では、深層学習を活用した作業支援システムの構築を目指し、実際の目視検査工程での実態調査と実験室でのシステム開発・被験者実験を並行して実施する。具体的には、実際の製品の欠点を対象とした適切な照明条件・撮影条件の検討、深層学習の判別精度の向上に必要な製品画像の要件の検討、欠点候補の可視化と効果的な作業者へ情報提示方法の検討を進め、実際の生産現場でその有効性を検証する。本年度は、昨年度に産学連携で実施した適切な照明条件・撮影条件の知見を踏まえて、深層学習の判別精度の向上に必要な製品画像の要件について検討した。本年度は深層学習の判別精度の向上に必要な製品画像の要件について検討した。本研究で開発する作業支援システムの実運用を考えた場合、良品画像は生産の過程で十分な量のデータが得られるのに対して、不良品画像はその発生頻度が低いので相対的に不良品画像のデータは十分でない可能性がある。そこで本研究では、教師なし学習が可能な学習モデルとしてDifferNetをベースとして採用し、学習データの特徴量の密度推定に基づいて異常スコアを算出するとともに、学習時にデータオーグメンテーションなどに類似した変換等を活用することによって、少数の学習データでも高い精度が得られる可能性があると考えた。また、DifferNetの勾配マップを作業支援システムの提示画像に応用することを考えた。これらの考え方に基づいて、昨年度に共同研究先から収集した良品画像、および、外観検査データセット(MVtecAD)の一部を対象とした検証の結果、全ての製品画像において84.9%以上の精度で判別可能であることが確認され、さらに勾配マップが作業支援システムの提示画像になり得ることもわかった。
2: おおむね順調に進展している
実際の生産現場での実態調査と実験室でのシステム開発・被験者実験を並行し、作業支援システムの実用化のための照明条件・撮影条件、深層学習の判別精度の向上に必要な製品画像の要件についても明らかになりつつあり、 おおむね順調に進展している。
来年度は今年度得られた知見に基づいて、作業支援システムの実用化ための欠点候補の可視化と効果的な作業者へ情報提示方法を検討する。具体的には、作業支援システムと作業者のインタラクションとして、作業支援システムの精度(良品・不良品判別の虚報率の違い)と情報提示方法を変動要因とする被験者実験を通じて、欠点候補の作業者への効果的な情報提示方法を実験的に検討する。そして、実際の生産現場でその有効性を検証する予定である。
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