研究課題/領域番号 |
22K14442
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
原田 拓弥 芝浦工業大学, システム理工学部, 助教 (70847201)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 社会シミュレーション / エージェント生成 / 合成人口 / 国勢調査 / リアルスケール社会シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では,公的統計を機械判読可能かつ統一的に扱うことができるe-Stat APIを用いて,属性の生成に使用する統計データと手法,及び,属性の生成順を決定する手法を開発する.また,生成されたエージェントと統計表とを比較し,その精度を評価する.そのために,① 国勢調査を対象にエージェントを生成するために必要な統計表や手法,生成順を決定する手法を開発し,その手法を用いてエージェントを生成する.次に,② 生成したエージェントと国勢調査の統計表と比較し精度を評価する.これらによってエージェント生成に必要なデータと手法,及び,生成順とその精度を明らかにする. 2022年度では,①と②の両手法のプロトタイプの作成に取り組んだ.①では多くの属性をもつエージェントを生成するために,まず,限られた属性をもつエージェントを生成する手法を開発した.統計表の調整を避ける提案手法により珍しい属性をもつ少数の世帯を含めて合成することが可能な手法を開発した.②では,合成された集団と合成対象の集団の類似度を評価する手法を開発した.提案手法では,まず,実統計表から仮想都市の人口を作成し,このデータを用いて統計表を集計する.この統計表を用いて人口合成することで,従来の評価手法である統計量の差に基づく評価ができるとともに,合成された個票データと統計表集計に使用した個票データを比較することが可能になった. 2023年度では,①の基礎となるエージェントを生成した.従来のエージェント生成手法では,平成22年国勢調査を対象に手法が開発された.令和2年国勢調査結果より一部の集計単位が提供されず,手法の改良が必要となった.併せて,前処理方法を工夫することで,従来手法より高精度のエージェントの生成に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り令和2年国勢調査結果を用いた属性合成が可能でありことに加え,エージェント生成のための汎用的なアルゴリズムの設計の見通しが立っていることから,おおむね順調に進呈している.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度ではe-Stat APIを用いて,属性の生成に使用する統計データと手法,及び,属性の生成順を決定する手法を開発する.また,これらの手法や順序が異なるエージェント生成を実施し,その精度を比較することで精度の高いエージェントの生成方法を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,2023年度は日本全国のエージェントの生成を予定していた.しかし,手法の開発に時間を要したため,エージェント生成に必要なスペックが確定できず次年度使用額が生じた.2024年度は計算資源に使用予定である.
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