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2023 年度 実施状況報告書

項間交差過程の理論計算に基づく重合性物質の自発熱重合機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K14446
研究機関東京大学

研究代表者

藤田 道也  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (20916225)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード項間交差 / 熱重合 / 重合性物質 / 反応解析 / 反応危険性
研究実績の概要

本研究の目的は、項間交差過程に関する詳細反応モデル構築技術を確立し、重合性物質の自発熱重合機構を解明し、その安全制御を目指すものである。特にアクリル酸エステルの自動酸化反応を第一原理よりモデル化する技術を構築し、その機構解明を目的とした。
2022年度まではアクリル酸メチルの等温エアレーション条件下における自動酸化反応速度に関して、70℃のみの実験値しか得られておらず、反応速度の温度依存性が不明であった。2023年度は、試験装置を改良し測定データの即時性、連続性の向上に成功し、30~50℃の間の反応速度測定を完了した。これにより自動酸化により生成する過酸化物濃度の予測式の構築に至り、本成果を国際会議等で報告した。
本研究では、これまで定量が困難であったアクリル酸メチルの自動酸化反応における反応生成物である過酸化物の定量に成功し、紫外吸光分析による定量測定技術を構築した。また、反応モデルに関しては、現象を素反応から記述して詳細化し、いくつかの反応を追加することで改良した。モデル予測結果は実験結果の傾向を説明するものとなったが、一部が再現できておらず、更なる改良が必要であることが分かった。
今後は、引き続き反応モデルの詳細化を実施するとともに、項間交差過程の反応速度の計算方法を見直す。また、実験方法についても紫外可視吸光分析における光軸固定方法や試料の揮発を除外するような方法を採用することで、より高精度な測定を実施する。また、既往研究を参考に試料の溶存酸素濃度を調整した実験を実施することで、上述した予測式に溶存酸素濃度の変数を加味した式への改良を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

物価高騰により、実験的検討の進捗に影響を受けたが、研究は概ね順調に進捗したと判断する。
理由として、試験装置を改良し測定データの即時性、連続性の向上に成功し、さらに自動酸化の温度依存性を考慮した、過酸化物濃度の予測式の構築に至ったことが挙げられる。本測定手法により、反応機構モデル検証用の実験結果を得ることができた。本成果は複数の国内学会、国際学会にて公表されている。
また、反応機構モデルについても改善点について解決の見通しが得られつつあり、次年度にはおおむね構築できるものと考える。
以上より、モデル検証に有効な定量測定結果が得られたことに加え、その成果が活発に報告されている点を鑑み、順調に進捗したと判断した。

今後の研究の推進方策

反応モデルに関しては、素反応機構の記述を見直すことで改良を試みる。各素反応の速度定数算出に当たっては第一原理計算に溶媒効果を加味して実施する。また、モデルに基づくシミュレーションにおける各素反応の感度を評価することで、現象を支配する素過程を特定し、より高精度な計算手法により速度定数を算出することで、モデル全体の信頼性向上を図る。特に、反応初期でアクリル酸メチルから生成する活性中間体に対し、すべての異性体を考慮して反応速度定数を算出する計画である。

次年度使用額が生じた理由

国際的な物価高騰に伴う材料手配の遅延により、購入予定であった物品が納入できず購入を断念したためである。次年度は早期に当該物品の手配を進め、予定通り使用する計画である。基本的に実験装置と実験用消耗品に使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] in situ紫外吸収分光法によるアクリル酸メチルの過酸化物生成速度解析2024

    • 著者名/発表者名
      山西晴之, 藤田道也, 戸野倉賢一
    • 学会等名
      2024年度火薬学会春季研究発表会
  • [学会発表] アクリル酸メチル自動酸化反応の詳細反応モデリング2024

    • 著者名/発表者名
      藤田道也, 山西晴之, 戸野倉賢一
    • 学会等名
      2024年度火薬学会春季研究発表会
  • [学会発表] Kinetic Analysis on Autoxidation of Methyl Acrylate2023

    • 著者名/発表者名
      Michiya Fujita, Haruyuki Yamanishi, Kenichi Tonokura
    • 学会等名
      Asia Pacific Symposium on Safety 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] in-situ連続測定分光法によるアクリル酸メチルの過酸化物蓄積速度解析2023

    • 著者名/発表者名
      藤田道也, 山西晴之, 戸野倉賢一
    • 学会等名
      第56回安全工学研究発表会

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公開日: 2024-12-25  

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