研究課題/領域番号 |
22K14486
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
小山 千尋 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 有人宇宙技術部門, 研究開発員 (50762051)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 浮遊法 / 酸化物融液 / 熱物性測定 |
研究実績の概要 |
本研究では、高融点酸化物融液の粘性を測定し制御することを目指している。従来の容器を利用した方法では、容器からの汚染や不均一核形成が問題となっていたが、本研究では、それらの問題を抑止することができる浮遊法を利用して、過冷却領域を含む広い温度領域で高融点酸化物の粘性測定と制御の開発を進めている。本年度は、浮遊装置の改良及び、高融点酸化物融液の熱物性測定を実施した。 浮遊装置の開発では、高温融液を安定して浮遊させるためのガスジェットノズルを改良した。このノズルから噴射されるガスを利用して、前年度に成功したAl2O3(融点=2000℃)だけでなく、より融点高いZrO2(2700℃)や単成分の希土類酸化物の安定浮遊溶融に成功した。 熱物性測定では、前年度に引き続き真空中で静電気力を利用してY2O3-Al2O3系の酸化物融液を安定浮遊させ、Al2O3, Y3Al5O12やYAlO3などの融点が2000℃付近にある材料の密度を精密に測定することに成功し、得られた結果を論文化し、Jornal of the American Ceramics societyに受理され、出版した。また、粘性測定においても同じく精密測定に成功した。非接触で測定可能である液滴振動法により得られた減衰時間と密度から算出を行い、過冷却領域を含めた温度域でのY3Al5O12を含めたY2O3-Al2O3の粘性の温度依存性及び組成依存性データが得られ論文化に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、前年度に引き続き、浮遊装置の開発改良及び酸化物液体の熱物性測定を実施した。粘性測定の制御までは至っていないが、装置開発では、より高融点の材料を浮遊溶融することができ、物性測定では、2000℃付近での酸化物融体の精密な密度及び粘性測定に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では本格的に加圧雰囲気下での酸化物熱物性測定の実施を進める。さらに雰囲気を変化させた時の熱物性の変化について検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定よりも、実験で利用していた消耗品の消費が抑えられたため。また、実験に使用を予定していた光学部品の入手が国際的な需要の増加により供給が圧迫し、予定数を購入できなかっため。
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