研究課題/領域番号 |
22K14490
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
李 禮林 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (40850714)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 動的濡れ / 単分子膜 / 固-液接触線 / 接触角ヒステリシス / 滑水 |
研究成果の概要 |
本研究では、異なる長さ、濡れ性の分子からなる単分子膜表面における動的濡れ現象を接触線における抵抗やヒステリシス発現の観点で探索した。 PEG鎖の反復回数が異なるPEGシラン単分子表面における高速濡れ評価結果、長鎖の単分子膜表面で遅れが生じることを発見した。分子スケールの挙動がマクロスケールの濡れに与える影響の直接観察であり、親水表面における液滴の動的濡れは慣性支配であるとの従来の理解を破る新しい発見でもある。さらに、長鎖PEG分子側は非常に低い接触角ヒステリシスを示すことを発見、高速濡れで見られたような分子挙動によるエネルギー散逸が平衡状態からの接触線移動の抵抗を低減させることを明らかにした。
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自由記述の分野 |
動的濡れ、表面界面制御
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
液滴が固体表面上で濡れ拡がる現象は身近でありながら、印刷や塗装、熱交換器など様々な産業分野において重要である。濡れを理解する基礎系であるキャピラリー濡れの中でもっとも非平衡性の高い初期の高速濡れは、これまで主に慣性、粘性、接触線摩擦間のバランスとして議論され、水のような低粘性流体の場合は慣性支配であり濡れ拡がりの時間のべき乗数は表面の濡れ性、つまり静的接触角に応じて決まると理解されてきた。本研究の成果により濡れにおける分子スケールの効果が明らかになり、実用応用で重要となる接触角ヒステリシスの理解でも同様の視点が必要でることが確認されたことから、今後濡れ分野の学理のさらなる深化が期待できる。
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