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2023 年度 実施状況報告書

電気二重層と超短パルスレーザーを組み合わせた熱損傷抑制的物質除去機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K14519
研究機関防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)

研究代表者

吉田 剛  防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 講師 (30837456)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードレーザー加工 / 超短パルスレーザー / 電気化学反応
研究実績の概要

本研究は極めて強い電圧印可条件における超短パルスレーザー照射によるレーザー照射による熱影響を極限まで取り除いた新規物質除去現象を探求することを目指している。fsレーザーを使用したレーザーアブレーション加工は極めて短いパルス幅による局所的な加熱により長いパルス幅を持つレーザーと比較して高品質な加工痕を得られることが知られているが、近年の二次元物質の加工や構造形成の微細化の要請により、将来的に更なる熱影響の低減の要請が予想される。
本目的を達成する具体的方法として、電解液中において電極表面に形成される電気二重層が電極表面に極めて強い電場を発生させることを利用し、その強い電場とフェムト秒レーザーの局所的な加熱を組み合わせることで従来のアブレーションより低い加工閾値を持った加工の可能性を探索する。レーザー加工閾値を低下させることは熱源となるレーザー照射のエネルギー自体を低下させ、熱影響の低減につながると期待される。
本研究計画は2022年度に電解液中におけるレーザー照射を行う実験装置の構築、2022年度-2024年度にかけてAu, Alなどの金属材料、Siなどの半導体材料において電解液中におけるレーザー照射実験を行う予定としている。
2023年度には構築した実験装置によりNaCl, EmimBF4水溶液系での金属に対するfsレーザー照射実験を行った。波長 1040 nm, パルス幅 400 fs>, フルエンス 5 -30 μJ, パルス繰り返し周波数 50 - 500 Hzのレーザー光を電解液中に静置した金属サンプルに照射し、加工痕についてSEMによる観察やAFMによる形状の調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究計画は2022年度に実験装置の構築を行い、2023-2024年度にかけて装置の改良と金属、半導体サンプルに対するレーザー照射の実験を進める予定としている。2023年度は電解液をNaClまたはEmimBF4水溶液とし、水素よりも酸化還元電位が高い金属として、Cu, Auを用いて電圧印加状態でのレーザー照射実験を行った。レーザー照射実験によりCu/NaCl水溶液系では電圧印加の有無によりレーザー照射により形成された穴の周囲に微細な凹凸が形成されることを確認した。アブレーション穴周囲に形成される凹凸構造はCu基板上からの物質除去が起きることを示唆する。しかし、CuはNaCl水液中における電圧印加により塩化銅を生成するが、それによる電気化学的エッチングが発生することから、新たな課題としてレーザー照射による加工形状変化のメカニズムとして電気化学反応と電界蒸発現象の区別が困難な点が明らかとなり、現象の解釈が難航している。AuではEmimBF4水溶液の系において電圧印加条件におけるレーザー照射の条件最適化を進めている。また、レーザー照射装置のサンプルステージの走査機構の設置を計画していたが、購入予定の部品が能登地震により納品が遅延している。

今後の研究の推進方策

現在、Au/NaCl aq.の系における電圧印加レーザー照射の実験を進めている。今年度はAuやCuなどの貴な金属だけでなくTi, Zn, Alなどの卑金属やSiなどの半導体サンプルを用いた実験、塩化物イオンより金属との反応性の低いアニオンを持つ塩を用いた実験等を行う。また、合わせてこれまで測定したCuやAu加工痕の変化のメカニズムについて、単位時間当たりの照射エネルギーと加工痕の形状の関係に注目して分析を行う。電気化学反応と区別の可能性について追及する。また、レーザー走査により形成された溝の加工形状について、電圧印加による構造変化を評価するため装置のサンプルステージに走査機構を追加する。

次年度使用額が生じた理由

実験装置機能拡張のための走査ステージなどの購入を予定していたが、地震の影響により調達ができたなかったため今年度購入する。

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公開日: 2024-12-25  

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