• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

ナノ混相組織の微視的な偏りを利用したアノード酸化による複合型多孔質電極材料の創製

研究課題

研究課題/領域番号 22K14520
研究機関地方独立行政法人京都市産業技術研究所

研究代表者

紺野 祥岐  地方独立行政法人京都市産業技術研究所, 京都市産業技術研究所, 次席研究員 (60774643)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアノード酸化 / めっき / 多孔質 / 鉄系合金 / 酸素発生反応 / 電極材料
研究実績の概要

本研究はめっき膜のアノード酸化およびポスト熱処理により生成する特有のナノ粒子複合多孔質膜の生成メカニズムを解明し、この知見を元に設計した複合型多孔質膜を高機能な酸素電極材料として応用可能かを検証する事を目的としている。
本年度はFe-Niめっき膜上のアノード酸化皮膜がポスト熱処理によりNi濃縮ナノ粒子/多孔質複合構造へ変換される理由について調べた。当初、複合構造への変換はめっき膜の微細な金属組織に起因すると想定されたが、結晶粒径の大きなめっき膜上に生成した皮膜を熱処理した場合にもNi濃縮ナノ粒子の生成が確認され、金属組織の微細さは複合構造への変換の主因ではないものと推察された。一方、熱処理雰囲気を変えることで、Niの局所的な濃縮すなわちナノ粒子の生成が抑制されることが判明した。この結果はポスト熱処理時における多孔質膜内部の軽元素の脱離や酸素への置換が、Ni濃縮ナノ粒子の生成に寄与する可能性を示唆しており、今後はアノード酸化皮膜が含有する軽元素の違いにも着目して研究を継続する。
生成したナノ粒子複合型多孔質膜は、同様の条件で溶製Fe-Ni合金上に生成する非複合型多孔質膜と比較して、高い酸素発生反応(OER)電極特性を示した。複合型多孔質膜は非複合型多孔質膜と比較して、電気化学的活性表面積が大きく、このことが優れたOER電極特性に寄与しているものと考えられる。この理由としては溶製Fe-Ni上の多孔質膜と比較して、めっき膜上の多孔質膜は電気抵抗が低いためであると推察され、Fe-Ni合金めっき膜のアノード酸化により、通常の溶製合金のアノード酸化では達成できない高機能な電極材料を作製できる可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

R4年度の研究計画通り、Fe-Ni合金めっき膜上に生成するナノ粒子複合多孔質膜の生成について、未だその原因は定かではないものの、様々な事実を明らかにした。
従って本研究課題はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

研究計画通り、R5年度もFe-Niめっき膜上のナノ粒子複合多孔質膜の生成メカニズムについて調べる。またFe-Niめっき及び他のめっき系において複合多孔質膜の生成に挑戦し、酸素発生反応電極特性の向上にも取り組む。

次年度使用額が生じた理由

当初令和4年度に予定していた論文投稿の予定が令和5年度にずれ込んだこと、年度末の出張旅費等の支払いが令和5年度になる事から、次年度使用額が生じた。
これら次年度使用額は、令和5年度にずれ込んだ論文投稿に係る費用等および令和4年度末の出張旅費等の支払いに使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Fe-Niめっき膜上のアノード酸化皮膜へのポスト熱処理条件が皮膜構造へ及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      紺野 祥岐、 山本 貴代、 永山 富男
    • 学会等名
      表面技術協会第147回講演大会
  • [学会発表] めっき法により作製したFe-Ni合金上における多孔質アノード酸化皮膜の生成2022

    • 著者名/発表者名
      紺野 祥岐、 山本 貴代、 永山 富男
    • 学会等名
      第37回アノード酸化皮膜の機能化部会(ARS)三河コンファレンス
  • [学会発表] Fe-Ni合金めっき膜上の多孔質陽極酸化膜へのポスト熱処理が酸素発生電極特性に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      紺野 祥岐、 山本 貴代、 永山 富男
    • 学会等名
      第24回関西表面技術フォーラム

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi