研究課題/領域番号 |
22K14526
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平賀 佑也 東北大学, 工学研究科, 助教 (70757814)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | イオン液体 / 超臨界流体クロマトグラフィー / 二酸化炭素固定 / カーボンニュートラル |
研究実績の概要 |
本研究は,元来分析装置としてしか利用されていない超臨界流体クロマトグラフィー装置に着目し,これを,二酸化炭素固定の連続反応分離場として利用することを目的としている.具体的には,環境調和型溶媒と称されるイオン液体を固定相に使用し,ここに反応の触媒作用を期待するとともに,温度・圧力・イオン液体種などを操作する.これにより,二酸化炭素固定化を対象とした流通式連続反応分離場として超臨界流体クロマトグラフィーの可能性を拡張するものである. 本年度は現有装置の健全性確認・拡張と基礎物性測定などを当初の予定としていた.また,カラムオーブンの新調とそれによる超臨界流体クロマトグラフィー装置の運用を計画していた.実際はCO2固定化反応であるスチレンカーボネート合成において,想定していたよりも高温を要することと,一部装置の耐熱性に問題があったことが確認できたことから,当初の予定にはないオーブンを導入し二段構成(予熱オーブン・本オーブン)とすることにした.そのため基礎物性測定よりもこちらの反応・分離に注力した.まず,イオン液体および触媒を担体に担持し,この担体の表面分析,熱分析などを進めた.所定量担持で来ていることを確認した上で,これを固定相に使用し,130℃,9 MPaの条件にて試験した.反応基質にスチレンオキシドを使用し,CO2固定化を行ったところ,スチレンカーボネートの合成を確認できた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応効率の改善を目的として,当初の予定になかったオーブンを導入したが,これの健全性確認を終え,最終的には所望の条件で(おそらく)予想された反応を達成した.現状はその最適条件探索には至っていないが,研究計画全体を遂行するにあたり最重要な部分を解決したため,概ね順調に進展していると判断する.
|
今後の研究の推進方策 |
まず,実際の超臨界流体クロマトグラフィー装置を用いた反応・分離試験については,温度圧力条件の他,イオン液体種や触媒種など,幅広い実験条件を選定した上で最適条件の探索を進める.特にカラム設計に際しては,混合イオン液体をどのように選定するか(あらかじめ混合するか,それぞれのイオン液体を修飾した担体を用いるか,など)が1つの鍵となる.また,カラムの長さについても,現状は未反応スチレンオキシドが多かったことから考えてより長いものが求められるため,それを設計して調査する. また,イオン液体およびイオン液体 - 超臨界CO2混合系の基礎物性に際しても,それらを実験的に調査し,反応・分離への定量的な影響を探索する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費等に使用する目的があったが,それに使用しなかったため次年度使用額が生じた.翌年度においては本年度で出られなかった分の学会に参加すること,および必要な物品を購入する費用として使用する予定である.
|