研究課題/領域番号 |
22K14527
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
廣森 浩祐 東北大学, 工学研究科, 助教 (80828062)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 吸着 / 速度論 / 量子化学計算 |
研究実績の概要 |
多層吸着現象を利用した分離プロセスの効率的な設計手法の確立を目的とし、実験なしでプロセス設計に必要なモデルパラメータの推算法の確立を目指した。 本研究では、3つの成分が関与する競争吸着現象を対象として、以前の研究で実験結果とのフィッティングで得られたモデル定数の推算値を計算化学により吸着現象に関与する成分に固有の物性から推算可能かどうかを検討した。まず、3種類9個あるうちのモデル定数のうち、平衡現象に関する2種類6個の推算を試みた。ここでは、吸着現象の前後における系内の自由エネルギー変化を推算するため、吸着前後の化学種を対象に、原子団寄与法あるいは量子科学計算によるアプローチで標準生成ギブズエネルギーや溶解度パラメータの推算を試みた。得られた推算値を、以前の研究でフィッティングによって推算したモデル定数と比較した。 その結果、原子団寄与法を用いて得られたモデル定数と、フィッティングによって推算したモデル定数との間に相関関係が得られ、実験なしで吸着プロセスの設計が可能なことが示唆された。同様に量子化学計算から得られた推算値を、フィッティングでのモデルパラメータと比較したところ、計算負荷は大きくなるものの、モデル定数の精度が向上することが分かった。さらに、高精度かつ低計算負荷で推算する手法の探索にも取り組んだところ、モデル定数の改善も達成できた。 本研究で得られた推算値を用いて、既に構築している吸着充填塔の設計に関するモデルのシミュレーションを実施したところ、吸着充填塔の応答試験曲線を良好に表現できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り進捗しており、一部来年度に予定していた計画に取り掛かり始めた部分もある。
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今後の研究の推進方策 |
実験なしで得られたモデルパラメータを用いた分離プロセスの設計を実施し、その結果を実験結果と比較することで、定量的なパラメータの推算がどの程度実施できているのかを評価する。 評価結果を受けて、さらに高精度にモデルパラメータの推算を可能にする手法や、より低い計算負荷で推算する手法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、3月末に出張による旅費の出費を計上していたが、別件との予定重複によりキャンセルせざるを得なくなったため。
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