研究課題
Agクラスター(~1nm)触媒は選択酸化反応等で特異な性能を示すことから注目されている。しかし,Agクラスターは容易に凝集するため微粒化が困難であった。本研究では,燃焼反応によって誘起されたAg-TiO2間の相互作用によりAgクラスターを安定化を試みた。Ag担持量に関わらず主要なTiO2の結晶相はアナターゼ型であったが,相互作用の発現に由来するTiOxの生成が確認された。また電子顕微鏡測定によってAgクラスターの存在が確認された。触媒活性評価装置を用いたH2パルス滴定測定によって,反応に寄与する活性酸素種量を測定した。Ag担持量の増加によって触媒中に含まれる活性酸素種の量は増加するが,Ag量が30~40wt%の条件ではほぼ変化しなかった。H2によって消費された触媒中の活性酸素種は10%O2-Heに暴露すると再生する。しかしAg量が30wt%以上では,1回目のH2パルス滴定測定前と比較して活性酸素種の量が減少した。開発したAgクラスター触媒のCO酸化反応活性を評価したところ,室温(25℃)で反応が進行することを見出した。この触媒は空気中350℃で2時間焼成した後も,焼成前と同等のCO酸化活性を有していた。含浸法で調製したAg/TiO2触媒は70℃以下では反応が進行しないことから,開発したAgクラスターが高い触媒活性と安定性を有していることが判明した。本研究により得たAgクラスター担持に関する知見は,様々なクラスター触媒(ZnOやVOx)の担持に適用可能であり,これらクラスターがCO2水素化反応や酸化カップリング反応を効率的に進行させることを見出した。よって,高活性Agクラスターにとどまらず様々な高活性クラスター触媒を合成するための知見を得ることができた。
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Applied Catalysis A: General
巻: 676 ページ: 119638~119638
10.1016/j.apcata.2024.119638
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