メタノールは、CO2を原料として合成可能な基幹化学品であり、CO2還元・資源化触媒開発において重要なターゲットである。CO2/H2からのメタノール合成は既に工業化されているが、Cu系触媒を用いる現行プロセスでは高温(250℃ー300℃)の厳しい反応条件が課題となっている。メタノール合成反応は発熱反応であるため、平衡制約の観点から反応条件の低温化(かつ高圧化)が求められている。本研究では、低温下(150℃以下)で駆動するCO2/H2からのメタノール合成触媒の開発と、in situ/operando分光による作用メカニズム解明を実施した。 最終年度にあたる2023年度は、前年度に取り組んだレニウム担持チタニア(Re/TiO2)触媒の作用メカニズムを、in situ/operando分光や、Modulation Excitation(ME)法を駆使して明らかにした結果を論文としてまとめ、査読付き国際誌に掲載した。 さらなる高活性触媒を効率的に見出すための研究にも着手した。具体的には、実験によるスクリーニングや第一原理計算(DFT法)から得られた知見やデータを用い次に検討すべき有望触媒を提案する機械学習モデルを構築した。機械学習モデルが提案した触媒を実際に調製・評価し、得られた結果をデータに加えて再学習する、機械学習と実験のループを繰り返すことで、効率的に新規触媒を見出すことに成功した。
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