研究課題/領域番号 |
22K14555
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
仁王頭 明伸 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (60910320)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己組織化単分子膜 / 電荷移動 |
研究実績の概要 |
軟X線による内殻電子励起を用いることで、分子の特定の原子に局所的に電荷を発生させることができる。基板表面に吸着した分子の場合、生じた電荷は分子鎖を介して基板へと移動するが、この電荷移動は放出される共鳴オージェ電子のエネルギー変化として観測できる(core-hole clock法)。本研究ではこのような軟X線による反応ダイナミクスを用いることで、π共役分子の導電性の非接触評価を試みた。対象のπ共役分子として2つのベンゼン環からなるビフェニル分子および3環構造を持つフルオレン分子に着目した。 令和4年度はまず分子が基板上に吸着した自己組織化単分子膜(SAM)試料の作製および評価を行った。メチル基を導入することによりねじれ角が変化した3種類のビフェニルチオール分子試薬(HS-C6H4-C6H4-COOCH3, HS-C6H4-C6H3Me-COOCH3, HS-C6H4-C6H2Me2-COOCH3)およびフルオレンチオール分子試薬(HS-C13H8-COOCH3)を用いて、金基板上にSAM試料の作製を試みた。作製したSAM試料の評価を、HiSOR BL13を利用した軟X線吸収分光計測により行った。得られた吸収スペクトルから、いずれのSAM試料においても基板上に配向膜が形成されたことが確認された。その後、作製したそれぞれのSAM試料について軟X線光電子分光計測を実施し、共鳴オージェ電子スペクトルの取得に成功した。得られた共鳴オージェスペクトルの解析から、分子-基板間の電荷移動時間の評価を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和4年度には、当初予定していたSAM試料の作製およびその評価を行い、電荷移動ダイナミクスの観測に適した高配向のSAM試料の作製方法を確立した。そこで当初令和5年度以降に予定していた共鳴オージェ電子分光測定を前倒しして進め、令和4年度中にその測定の大部分が完了した。このように本研究課題は当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、再現性の確認等も含め、引き続き共鳴オージェ電子分光測定を進める。実験で得られる共鳴オージェスペクトルの解析を進め、分子-基板間の電荷移動時間の評価を行う。また電荷移動ダイナミクスについての考察のため、対象分子についての量子化学計算の実施を予定している。得られた成果について原著論文として投稿する準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年3月に学外の放射光施設への出張実験を行ったが、施設側より旅費の支給を受けたため、当該年度の使用額が予定より少なくなった。次年度使用額は令和5年度に出張旅費の一部として使用予定である。
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