研究実績の概要 |
令和5年度は令和4年度に引き続き自己組織化単分子膜(SAM)試料の作製、評価、および共鳴オージェ分光計測を行った。 メチル基を導入することによりねじれ角が変化した3種類のビフェニルチオール分子試薬(HS-C6H4-C6H4-COOCH3, HS-C6H4-C6H3Me-COOCH3, HS-C6H4-C6H2Me2-COOCH3)およびフルオレンチオール分子試薬(HS-C13H8-COOCH3)を用いて、金基板上にSAM試料を作製した。本年度は新たに、光電子分光(XPS)測定によるSAM試料評価を実施した。実験はHiSOR BL13を利用して行った。得られたXPSスペクトルから、いずれのSAM試料においても金基板上に化学吸着したSAMが形成されたことが確認された。 これらSAM試料について共鳴オージェ電子スペクトルの取得に成功した。得られた共鳴オージェスペクトルの解析から、分子-基板間の電荷移動時間の評価し、実験結果の再現性を確認した。解析から、ねじれ角の大きいビフェニルチオールSAMでは分子-基板間の電荷移動が抑制されることが明らかとなった。
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