研究課題
本年度では、(1)異電荷細菌の計測システムと(2)機械学習による単一細菌識別を達成した。(1)では、泳動方向の異なる細菌を検出することができる計測システムを構築した。プラスからマイナス方向に細菌は泳動されると想定していたが、細菌種によってはマイナスからプラス方向に流れるものがあるという課題に直面した。そこで、電気的に分離された二つのマイクロポアを有するセンサデバイスを新たに開発して、二つの電気泳動方向を同時に計測することができるシステムを構築した。臨床的に重要な細菌をモデルとしてセンシングを行ったところ、緑膿菌や大腸菌はプラスからマイナス方向、アシネトバクターと黄色ブドウ球菌はマイナスからプラス方向の電気泳動に基づき、パルスとして単一細菌を検出可能であることを確認した。(2)では、(1)で検出したパルスの特徴量抽出と機械学習による分類を行うことで、単一細菌の識別を進めた。具体的には、プラスからマイナス方向とマイナスからプラス方向の電気泳動方向に基づき二つのグループに分けて、特徴量抽出では、パルスの高さや幅などに関わる10種類の特徴量を各パルスから抽出した。そして、各泳動方向グループのパルス特徴量を機械学習することで、分類モデルを構築した。当該モデルによって、プラスからマイナス方向では96.6%、マイナスからプラス方向では84.6%で単一パルスを分類可能であることを実証した。前処理を含めた単一細菌センシングから細菌種の識別までのワークフローは20分程度で実施可能であることを確認している。これらの結果から、電気的なセンシングに基づき細菌種を迅速に分類可能なセンサシステムの開発に成功した。
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