研究課題/領域番号 |
22K14601
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
半沢 幸太 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (30849526)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 鉄系超伝導体 / エピタキシャル成長 / トポタクッティック反応 / 強磁場 / 水素 |
研究実績の概要 |
鉄系超伝導体で最高の超伝導臨界温度(Tc)を発現するLnFeAsO(Ln = 希土類金属)は、水素をドーパントとすることで特異な超伝導相図を示す。その特異な超伝導発現機構を明らかにすべく、単結晶合成が世界中で試みられ、近年はじめて合成に成功した。しかし、その結晶サイズは極めて小さく、水素濃度も不十分であったため、未だに角度分解光電子分光などの超伝導発現メカニズムに迫る研究には至っていない。そこで、大型単結晶と同等と見なせるエピタキシャル薄膜に着目し、トポタクティック反応を利用した水素ドーピング手法を新たに開発することで高濃度水素ドープLnFeAsO(Ln = Sm)の作製に世界で初めて成功した。本研究課題では、その水素ドープSmFeAsOの強磁場下における電子輸送特性を測定することで、超伝導応用に向けた最も重要な超伝導特性の1つである上部臨界磁場の実験的な決定と超伝導発現メカニズムの解明を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
130Tの強磁場を発生させる一巻きコイル法を用いて、水素置換SmFeAsOエピタキシャル薄膜の上部臨界磁場を評価した。その結果、SmFeAsOが鉄系超伝導体において実測値としては最大の120Tの上部臨界磁場を有することを明らかにした。さらに得られた上部臨界磁場の温度依存性を評価することでこの物質の超伝導対破壊の起源に迫る知見を得ることが出来た。さらにその磁気異方性がフッ素を置換したSmFeAsOに比べて半減するという特異な特性も見出した。
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今後の研究の推進方策 |
鉄系超伝導体の超伝導発現機構の起源に迫るため、水素置換SmFeAsOエピタキシャル薄膜の電子構造評価を行う。現在用いている水素置換手法ではエピタキシャル薄膜表面が水素源である水素化カルシウム粉末に直接触れてしまうという欠陥がある。これは薄膜表面の汚染を導くことから、表面情報が観測する光電子分光測定などの妨げになっていた。そこで水素源が直接薄膜表面に接触しない高効率な水素置換手法の開拓を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はこれまで用いていた手法での試料作製とその評価に注力した。そこで更なるプロセスの開拓が必要と判断した。プロセス開拓には消耗品だけでなく、新たな装置の購入、作製が必要になる可能性があるため次年度使用額とした。 使用計画としては主に実験上必要不可欠な消耗品の購入、成果を体外発表するための論文出版費、学会参加費としての仕様を予定している。
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