研究課題
若手研究
本研究では、液中原子間力顕微鏡(AFM)で用いるためのカーボンナノチューブ(CNT)探針を開発し、CNT探針でヒトの染色体の表面と内部を3D-AFM計測することで、従来のAFMでは困難だった染色体の3次元立体構造を可視化することに成功した。また、開発したCNT探針を用いてDNAの液中観察を行い、従来のDNA観察で問題となっていたDNAの見かけ上の形状の膨潤の問題が解消され、直径2 nmのDNAの形状をとらえつつDNA表面のらせん構造を同時に観察することに成功した。
計測工学
本研究により、従来のAFMでは困難であった生体試料の内部計測が可能となり、本研究で用いた染色体だけではなく、細胞核、ゴルジ体、ミトコンドリアなどの各オルガネラの液中3次元計測の可能性が拓かれた。これは、液中AFMの応用可能性を大きく広げる成果であり、液中AFMが生物学や医学・薬学などの各分野に普及し、生体試料に関するナノレベルの新たな構造・力学情報に関する知見を与えることが期待される。