研究課題
本研究の目的はトポロジカル絶縁体における、スピン偏極ディラックコーンのキャリアタイプ・バンドギャップといったバンド構造の基本的性質を、表面科学的手法により自在に制御する方法論を確立することである。そして、バンド構造を制御したトポロジカル絶縁体薄膜を用いて、スピン偏極キャリアダイナミクスの系統的・普遍的性質を観測することで、スピン偏極電流制御につなげることである。初年度となる本年は、新たな成膜装置の立ち上げとバンド構造制御技術の開発を行った。具体的には以下の内容を実施した。1) 本研究用に新たに導入した成膜装置の立ち上げを行った。古今の世界情勢の影響で、想定していた納期より若干の遅れが見られたが、納入前に他の真空部品の設計・実装が順調に完了していたため、納入後速やかに立ち上げを完了した。2) 新たな成膜装置を用いて薄膜作製によるバンド構造制御技術の開発を行った。研究開始当初に想定していた通り、基板表面の状態制御によりその上に成膜した薄膜の電子状態に変調が起きることを確認した。3) 本研究計画と平行して、表面電子状態のキャリア制御技術の確立およびダイナミクス観測について、強相関半導体物質を対象として放射光光電子分光およびレーザー時間分解光電子分光を用いて研究を行い、論文発表を行った。今後は、より詳細な成膜条件の探索行い、得られた良質な試料について時間分解光電子分光により電子状態のキャリアダイナミクスの時間発展について検証する。また、最近報告された新たなスピン偏極キャリアダイナミクスの観測手法である逆Rashba-Edelstein効果によるTHz波発生現象が本研究内容と相補的な情報を与えると期待されるため、これについても本研究により作製した試料への適用を検討する。
2: おおむね順調に進展している
トポロジカル絶縁体のバンド構造を制御する手法の開発について、当初の想定通り基板表面状態の操作により制御可能であることを確認したためである。
より詳細な成膜条件の探索行い、得られた良質な試料について時間分解光電子分光により電子状態のキャリアダイナミクスの時間発展について検証する。また、最近報告された新たなスピン偏極キャリアダイナミクスの観測手法である逆Rashba-Edelstein効果によるTHz波発生現象が本研究内容と相補的な情報を与えると期待されるため、これについても本研究により作製した試料への適用を検討する
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
Physical Review B
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