研究の目的および方法:本研究の目的は、二次元層状半導体を用いた光スイッチデバイスの開発です。微小光共振器上に積載した二次元材料にレーザーを照射し、光吸収キャリアによる屈折率変調を利用して高速・省エネな光スイッチを実証することを目指しました。研究は以下のステップで進められました。第一に、シリコンフォトニック結晶ナノビーム光共振器に二次元材料を積載し、共振器のQ値を維持しつつ屈折率変調を行うデバイスの作製。第二に、光スイッチ動作特性の評価と光生成キャリアダイナミクスの研究です。 最終年度の研究成果:最終年度においては、二次元材料MoTe2を用いることで33psの高速スイッチング速度を持つデバイスの作製に成功しました。また、スイッチングエネルギーも200~300fJ程度と非常に省エネであることを実証しました。さらに、信号波長依存性および励起波長依存性を明らかにし、最適な動作条件を特定しました。 研究期間全体の成果:研究期間全体を通じて、二次元層状半導体を用いた光スイッチデバイスの基本動作原理を確立し、スイッチング特性の向上に成功しました。特に、二次元材料の光吸収キャリアのダイナミクスを詳細に解析し、スイッチング速度とエネルギー効率の両立を実現しました。 意義と重要性:本研究の意義は、二次元材料をシリコンフォトニックデバイスに集積したハイブリッドデバイスを開発することで、シリコンの材料限界を超えた高速・省エネ光スイッチングを実証した点にあります。これにより、次世代の高速光通信技術の発展に貢献することが期待されます。
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