本研究では生体内でも安定なラジウム錯体を合成するための新規配位子の開発に取り組んだ。ラジウムはアルファ線を用いた放射線治療において高いポテンシャルを有する放射性同位元素である。それを有効活用するためには錯体化する必要がある。しかし、その錯体の安定性が非常に低いため取り扱いが困難である。そこで、ラジウムを捕捉するための籠の形をした分子を新たに設計し、ラジウムと同族のバリウム錯体を中心に合成し、その安定性評価を行った。開発当初に想定した通りの結果とはならなかったが、新たな配位子設計の指針を見出すことができた。
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