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2022 年度 実施状況報告書

半無限固液界面における第一原理計算手法の開発とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K14643
研究機関筑波大学

研究代表者

萩原 聡  筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (60823458)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード第一原理計算 / 表面電子物性 / 古典溶液理論 / 電気化学
研究実績の概要

電極と電解液で構成される電気化学界面で起こる種々の電気化学反応過程の物理理解のためには, 電極電位を制御した上で微視的理論に基づく網羅的な数値計算が必要となる. 計算精度を維持しつつ少ない計算負荷で電気化学反応を調べるため, 電極と注目する反応体を量子力学に基づく電子論で扱い, 環境として振る舞う電解液を古典溶液論で扱う量子・古典融合理論が近年開発され, 種々の電気化学反応の理解に応用されている. この量子・古典融合理論では, 古典溶液論にreference interaction site model (RISM)を採用している. しかし, RISMには溶液の誘電率を過小評価する問題が知られている. より信頼性の高い数値計算を行うためには, 電子論のみならず古典溶液論の高度化も必要となる.
昨年度は研究開発初年度として, 誘電率補正したRISM (dielectrically consistent RISM; DRISM) を量子・古典融合理論に応用することで, 電気化学界面における種々の物理量に対して誘電率補正が与える影響を調べた. まずNaCl水溶液バルクに対して誘電率補正効果を調べたところ, 実験で得られるイオン平均活量の溶質濃度依存性をよく再現することを確認した. 次に, Pt(111)/1M-HCl水溶液界面を用意し, 計算を実施したところ, 標準水素電極電位から測ったゼロ電荷電位やグランドポテンシャルの曲率から決まる電気二重層の静電容量の定量性が改善する傾向が得られた. 本結果から, 古典溶液論の改善は, 電気化学界面における諸物理量を求める上で重要となると考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究開発初年度として, 量子・古典溶液理論の枠組みで金属電極/水溶液界面における数値計算手法の高度化を行なった. 本研究成果から, 電気化学界面の諸物理量を予測するためには, 電極の電子状態のみならず電解液側の計算手法の高度化も必要であると考えられる. このような知見は電気化学界面の反応や物性値に対する理論的予測能力の向上のために有益であると考えられる. したがって, 概ね順調に進捗している.

今後の研究の推進方策

本研究は, 半無限固液界面シミュレーション手法開発における溶液部分に対する方法論の提案に位置付けられる. 今後は, 本研究で開発した手法をより具体的な電気化学界面反応の問題に適用しつつ, 電極材料の電子状態に対する予測精度向上を目指した手法開発に着手していく.

次年度使用額が生じた理由

出張を予定していた会議がオンライン開催となったため繰越額が発生した。次年度の学会発表などの出張費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Development of a dielectrically consistent reference interaction site model combined with the density functional theory for electrochemical interface simulations2022

    • 著者名/発表者名
      Hagiwara Satoshi、Nishihara Satomichi、Kuroda Fumiaki、Otani Minoru
    • 雑誌名

      Physical Review Materials

      巻: 6 ページ: 093802-1-14

    • DOI

      10.1103/PhysRevMaterials.6.093802

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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