研究課題/領域番号 |
22K14654
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
遠藤 友随 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 主任研究員 (60823929)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 強レーザー場 / 2色レーザーパルス / 光電子分光 / 超高速分光 |
研究実績の概要 |
基本波と二倍波のコヒーレントな重ね合わせで得られる位相制御2色レーザーパルスの位相差をショット毎に計測するデバイスを作製し、一酸化窒素分子およびOCS分子を対象に光電子-光イオン三次元運動量画像計測を行なった。光電子の運動量画像に関しては、測定した位相差でソートすることで2色レーザーパルスの電場波形を反映した非対称な分布が観測された。従来の位相をロックして計測を行う手法と比べ、非対称性の高い光電子運動量画像が得られた。これは従来よりも高い分解能で位相差を決定できることによるものである。一方で、イオンの運動量画像に関しては、使用していた検出器の経年劣化による検出効率の低下により、十分なデータが得られなかった。検出器の交換後、再度同様の測定を行い、イオン運動量画像に関してもショット毎に測定した位相差を用いた解析を行う予定である。 サブ10フェムト秒の極短パルスを基本波とした2色レーザーパルスに対して、ショット毎の位相計測を行うため、デバイスの光検出部を新たに設計し、最適化を行なった。その結果、サブ10フェムト秒の2色レーザーパルスに対しても開発したデバイスの有効性が確認された。また、パルスエネルギーの安定化機構も新たに導入し、良好に動作することを確認した。 位相制御2色レーザーパルス中で放出された電子のトラジェクトリー計算を実施し、実験で得られた光電子運動量画像の非対称性が、位相差によって決まるレーザー電場波形の非対称性と親イオンから受けるクーロンポテンシャルの効果によって決定付けられることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イオン側の検出器の感度低下より、当初予定していた光電子運動量とイオン運動量の同時計測に関しては十分なデータが得られなかったため。検出器の感度低下を除いた部分に関しては当初の計画通り進んでおり、全体としてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
イオン側の検出器の交換後、一酸化窒素分子を対象とした光電子-光イオン運動量画像計測を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた電子部品の納入が年度内に間に合わないことが判明し、代替品の検討に時間を要したため。残額については次年度に代替の電子部品の購入に使用する。
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