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2022 年度 実施状況報告書

互変異性可能な重いアミド化合物の創製

研究課題

研究課題/領域番号 22K14665
研究機関京都大学

研究代表者

行本 万里子  京都大学, 化学研究所, 助教 (70822964)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード高反応性化学種 / 高周期14族元素 / 16族元素 / 立体保護
研究実績の概要

互変異性化反応は、有機化学における基本反応の一つであるが、多重結合に高周期14族元素を含む場合、合成上の困難さから全く未解明の現象である。本研究では、重いアミド類と対応する重いイミノール類の合成・単離を行い、その互変異性化反応の有無などの化学結合の本質を調べ、第2周期元素の化学の普遍性・特殊性を明らかにすること、第2周期元素の化学の概念の拡張を行うことを目的している。
2022年度は重いアミド類としてゲルマニウムーカルコゲン間二重結合化学種の合成を行なった。本研究で目的とする化合物は、高反応性の化学結合を有するため、かさ高い置換基を用いる速度論的安定化を利用して立体保護を行う。高反応性である重いカルボニル結合を保護するためにゲルマニウム原子上にかさ高い芳香族置換基を導入した。また、かさ高い置換基を有するNH基としてアダマンチルアミノ基またはトリプチシルアミノ基を選択し、骨格構築を行った。導入した置換基の立体保護効果により重いゲルマンアミド類の原料となるNH置換ゲルミレンを不活性ガス雰囲気下で熱的に安定な固体として高収率で得ることができた。アダマンチル基を導入した系では、ゲルマンアミド類の合成・単離には立体保護が不十分であることが明らかになった。トリプチシル基を用いた骨格では、単離したゲルミレンと16族元素導入試剤との反応からゲルマンチオアミド(ArRHNGe=S)、ゲルマンセレノアミド(ArRHNGe=Se)、ゲルマンテルロアミド(ArRHNGe=Te)への誘導を行い、対応する重いゲルマンアミド類を高収率で得ることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

窒素上のかさ高い置換基として、まずアダマンチル基を導入した骨格を用いた検討を行った。ゲルマンアミド類の前駆体となるゲルミレンは、問題なく合成・単離することができたが、カルコゲン化を行うと対応するゲルマンアミド類の二量体が得られることが明らかになった。そこで、窒素上に導入する置換基をトリプチシル基へ変更したところ、重いゲルマンアミド類(ArRHNGe=Ch, Ch = S, Se, Te)を合成・単離することができた。しかしながら、トリプチシル基を導入した骨格においても酸素類縁体(ArRHNGe=O)の合成・単離には至っていないため、さらにかさ高い置換基の導入などの工夫が必要である。

今後の研究の推進方策

ゲルマンアミド(ArRHNGe=O)については、トリプチシル基を導入した系においても二量化反応が進行することが明らかになったため、かさ高い芳香族置換基を窒素上に導入するなど、より有効な立体保護効果が得られる骨格構築を行う。
合成・単離に成功した重いゲルマンアミド類については、塩基を用いたNHプロトンの引き抜き反応をはじめとする反応性の検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初計上していた特注のガラス器具は申請者の学内研究資金により調達することが出来たため、次年度使用額が生じた。遂行上必要なガラス器具、試薬類(四塩化ゲルマニウム、ブチルリチウム、重ベンゼン、重トルエン等)の追加購入および論文投稿料として使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of a Kinetically Stabilized 2,2-Dihydrosilene2022

    • 著者名/発表者名
      Garcia Julius Adrie、Yasui Yuji、Yukimoto Mariko、Mizuhata Yoshiyuki、Tokitoh Norihiro
    • 雑誌名

      Chemistry Letters

      巻: 51 ページ: 898~901

    • DOI

      10.1246/cl.220275

    • 査読あり
  • [学会発表] かさ高いベンジル基を有するゲルミレンの反応性2023

    • 著者名/発表者名
      内田大地・行本万里子・水畑吉行・時任宣博
    • 学会等名
      日本化学会 第103春季年会
  • [学会発表] Unusual Cleavage of a Germanium-methylene Carbon Bond in the Reaction of Aryl(Aryl’methyl)Ge: with CCl42022

    • 著者名/発表者名
      Mariko Yukimoto, Daichi Uchida, Yoshiyuki Mizuhata, Norihiro Tokitoh
    • 学会等名
      The 25th IUPAC International Conference on Physical Organic Chemistry
    • 国際学会
  • [学会発表] TbtCH2基を有するゲルミレンの新規な開裂反応を利用したジクロロメチルジハロゲルマンの合成とその還元反応2022

    • 著者名/発表者名
      内田大地・行本万里子・水畑吉行・時任宣博
    • 学会等名
      第32回基礎有機化学討論会
  • [学会発表] かさ高い置換基を有するゲルミンの発生と環状ゲルミレンの生成2022

    • 著者名/発表者名
      内田 大地・行本 万里子・水畑 吉行・時任 宣博
    • 学会等名
      第26回ケイ素化学協会シンポジウム
  • [学会発表] 新規ターフェニル型立体保護基を導入した ハロスタンニレンの合成2022

    • 著者名/発表者名
      中西泰己・行本万里子・水畑吉行・時任宣博
    • 学会等名
      第49回基礎典型元素化学討論会

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公開日: 2023-12-25  

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