ピッカリングエマルションを反応場とする多成分触媒反応の開発を行った。特にアルコールの動的速度論的光学分割において顕著な成果が得られた。本来は共存し得ないリパーゼと硫酸水溶液を、ピッカリングエマルションによる反応場の区画化によって同一系内で機能させることに成功し、幅広いラセミ体アルコールについて高収率・高光学純度で対応するエステルが得られた。また、動的速度論的光学分割による光学活性体の合成が極めて難しいとされる第三級アルコールについても、本手法は適用可能であった。第三級アルコールは、従来のレドックス機構のラセミ化が不可能であり、ピッカリングエマルションを用いる本手法の有用性を示す結果である。
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