研究課題/領域番号 |
22K14684
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
関根 康平 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (30843148)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 炭素-窒素結合切断 / 芳香族アミン / 光誘起電子移動 / ボリル化 / ラジカルカチオン / アミノラジカル |
研究実績の概要 |
芳香族アミン類は豊富に存在するため、その炭素-窒素結合の切断を伴う官能基化反応は有用な変換手法となりうる。しかし、直接的な炭素-窒素結合の変換は、炭素-窒素結合の結合解離エネルギーが大きいなどの理由で困難である。報告者らは、最近、芳香族第三級および第二級アミンの炭素-窒素結合を炭素-ホウ素結合へ直接変換する手法を見出した。本研究では、その反応機構解明と他の分子変換反応への展開を目指す。今年度は、これまでに見出した反応条件では適用困難な芳香族第一級アミンに対する炭素-窒素結合の切断を伴うボリル化反応の開発に成功した。芳香族第一級アミンに対して、ビス(ピナコラート)ジボロン存在下、炭酸ジメチル溶媒中、空気雰囲気下、可視光を照射させると、ボリル化反応が効率的に進行した。さらに、この反応の副反応である脱アミノ化反応が高選択的に進行する反応条件も見出した。すなわち、芳香族第一級アミンに対して、ジグリム溶媒中、窒素雰囲気下、可視光を照射させると、脱アミノ化生成物が高選択的に得られた。分光測定、対照実験および量子化学計算を用いて、芳香族第一級アミンの炭素-窒素結合切断を伴うボリル化反応および脱アミノ化反応の反応機構を明らかにした。どちらの反応においてもアニリノラジカルが生成し、ビス(ピナコラート)ジボロンへの付加反応が進行する。ボリル化反応はアリールラジカルを経由しない一方で、脱アミノ化反応はアリールラジカルを経由して進行することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた反応機構解析を分光測定、対照実験および量子化学計算を用いて行い、本反応機構を明らかにした。また、これまでに適用困難であった芳香族第一級アミンの炭素-窒素結合の切断を伴うボリル化反応の開発に成功した。さらに、芳香族第一級アミンの脱アミノ化反応が選択的に進行する反応条件を見出した。これらの成果を国内学会発表および国際学術論文として報告済みである。第2年度に計画している芳香族炭素-窒素結合の切断を足がかりとするさらなる分子変換反応の開発に関して大きな進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
芳香族炭素-窒素結合の切断を足がかりとする分子変換法開発の研究を推進する。初年度に明らかにしたボリル化反応の反応機構に基づいて、芳香族炭素-窒素結合の切断を伴う他の官能基化反応へと展開する。とくに、有機合成化学で重要な炭素-炭素結合形成反応の開発を目指す。また、機能性をもつ分子骨格の構築にも展開する予定である。
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