研究実績の概要 |
結晶材料の柔軟性を向上及び制御することは、フレキシブルな光学デバイスへの応用などにおいて重要な研究課題である。本研究では、単結晶の精密な柔軟性制御を目的とし、分子集積を保持しつつ分子間相互作用や結合強度を緻密に変調させることによって可能か検討した。アルキル長鎖の対側にX=F, Cl, Br, Iを導入しアルキル鎖のファスナー効果を利用して集積構造は保持したまま、ハロゲン間相互作用を変調させることで結晶の柔軟性が制御できるか検討した。それぞれの単結晶を作製し、弾性ひずみ率により機械的強度を比較した所、I<Cl<Br<Fの順に柔軟性が増していることが分かった。特に、Fを導入した化合物においては、極めて高い柔軟性を有し、ナノインデンテーション試験により詳細な評価を行ったところ、Clより10倍柔軟である可能性が示唆され、報告されている分子結晶の中で最も柔らかいことが分かった。柔軟性制御が可能であっただけでなく、極めて柔軟な結晶作製に関する分子設計指針が得ることに成功している。
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