研究実績の概要 |
本年度は、主として以下三点の研究で大きな進展があった。 1.白金を鋳型とすることで進行する脱水的芳香環化反応によるABCD ポルフィリン合成法に関する論文がChem. Eur. J. 2023, 29, e202301717.に掲載された。 2.我々が開発した(含ヘテロ)トリプチセン前駆体のためのカギ原料とアリールアセチレンとのCo触媒 [4+2]環化付加反応を利用した、新規ジアリールトリプチセンの合成法を開発することに成功した。得られた化合物は円偏光蛍光を示し、トリプチセンにおけるキラルスルースペース共役と物性に関する知見を得ることができた。当該論文はBull. Chem. Soc. Jpn. 2023, 96(8), 775-777 (DOI: 10.1246/bcsj.20230112) に掲載された。 3.上記 ABCDポルフィリン合成法では、ABCDヒドロキシポルフィリンが中間体として得られる。本年度はこのヒドロキシ基を触媒反応活性なOTfへと変換し、鈴木宮浦反応を用いることでABCD-ABCDポルフィリンダイマーの合成・単離に成功した。得られた化合物の一つは光学活性であり、キラルカラムによる光学分割と、単結晶X線構造解析による絶対構造の決定を行うことができた。さらに得られた光学活性な化合物は、優れた円偏光リン光特性を示すことを明らかとした。現在、当該論文の投稿を検討している。
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