研究課題/領域番号 |
22K14727
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平尾 岳大 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (20825343)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超分子ポリマー / フラーレン / 自己集合 |
研究実績の概要 |
特異な分子認識により会合体を形成する超分子錯体は,分子集合体の構造に明確な秩序を与える有効な手法であることが見出され,これまでに,様々な分子間相互作用を駆動力に,高度に構造制御された超分子集合体が数多く創り出されてきた。超分子化学の手法は,フラーレンやポルフィリン,ペリレンなど複数の反応点を有する機能性分子を規則的にポリマー主鎖に配列させることができることから,配列構造制御ための新しい手法として注目を集めてきた。今回,カリックス[5]アレーンとフラーレンのホストゲスト相互作用を駆動力に,規則的にフラーレンが配列したフラーレンネットワークを合成しようと考えた。代表者の所属する研究グループではカリックス[5]アレーンとフラーレンが安定なホストゲスト錯体を形成することを見出している。そのため,カリックス[5]アレーン部位を複数有するホスト分子とフラーレン部位を複数有するゲスト分子は,分子間で会合体を形成することで,超分子ポリマーを形成すると期待できる。 当初の計画通り現在までに,二つのカリックス[5]アレーン部位を有する新規ホスト分子の合成経路およびフラーレン部位を複数有するゲスト分子の合成経路の開拓に成功している。今後は,フラーレン部位を二つもつゲスト分子および二つのカリックス[5]アレーン部位を有するホスト分子の大量合成を行う。それらを混合することで,カリックス[5]アレーン部位とフラーレン部位の会合体形成挙動を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,カリックス[5]アレーン部位を二つもつホスト分子の合成およびフラーレン部位を複数有するゲスト分子の合成を達成した。今後は予定通り,カリックス[5]アレーン部位とフラーレン部位の会合体形成挙動を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに開拓したホスト分子およびゲスト分子の合成経路を参考に,カリックス[5]アレーン部位を二つもつホスト分子およびフラーレン部位を二つもつゲスト分子の大量合成を行う。新たに合成したホスト分子とゲスト分子を混合し,紫外可視吸収スペクトル測定,発光スペクトル測定,核磁気共鳴スペクトル測定,原子間力顕微鏡測定を用いて,溶液中および固体状態における超分子集合体の形成挙動について詳細な知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を遂行する過程で,計画立案当初考案していた手法では,目的化合物の合成が達成できない,もしくは著しく困難であることが判明した。新たな合成経路の検討と合成に,申請書提出当初の計画以上に時間を要することとなり,予定していた共通機器利用による測定の全てを年度内に終えることができなくなったことから,次年度使用額が生じた。次年度使用額は,共通機器使用料として,2024年度分請求の助成金と合わせて使用する。
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