研究課題/領域番号 |
22K14733
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内田 淳也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80896027)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 液晶 / 分子集合体 / 分子認識 / 超分子 / 自己組織化 / 配向 / 界面 |
研究実績の概要 |
本研究では、液晶材料を基盤とする分子認識センサーの開発に向けた材料設計指針を確立することを目指している。本年度は、分子認識部位を有するメソゲン分子の設計、合成を行い、生体分子を認識する液晶界面の構築を行った。生体分子認識部位を有するメソゲン分子の構造が、界面における配向、および標的分子に対する応答性に与える影響について調べるため、異なる数の棒状部位を有するメソゲン分子を設計、合成した。複数の棒状部位を有するメソゲン分子を用いて作製した液晶界面は、標的タンパク質に応答して液晶分子の配向が変化し、偏光顕微鏡観察において暗視野から明視野へと変化することを明らかにした。一方、単一の棒状部位を有するメソゲン分子を用いて作製した液晶界面は標的タンパク質に応答せず、暗視野のままであった。メソゲン分子の分子設計により、センシング機能を有する液晶界面を構築できることを示した。 特定の気体分子に対して選択的に応答する液晶材料の開発に向けて、相互作用部位を導入した新規メソゲン分子を設計、合成した。これらのメソゲン分子とネマチック液晶との相溶性、および界面における分子配向を制御するため、スペーサー部位の構造を変えた複数の化合物の合成を行った。 刺激に応答して巨視的な変形を示す新たな自己組織性超分子液晶ポリマーを構築した。複数種の非共有結合を組み合わせることで、超分子液晶材料の動的機能の発現および制御が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
応答性を発現するためのメソゲン分子および液晶界面の設計に関する知見が得られた。また、当初の計画通り、相互作用部位を有するメソゲン分子の合成が進んでいる。さらに、刺激応答性を示す超分子液晶材料を構築した。これらの結果は、標的物質に応答する分子認識液晶材料の開発のための設計指針を構築するために有用である。以上の成果から、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
メソゲン分子の集合挙動がセンシング機能に与える影響について調べ、高機能性の分子認識液晶材料の構築に関する知見を得ていく。分子認識部位を有する液晶材料の設計・合成をさらに進め、新たなセンシング機能を有する液晶材料を構築する。また、超分子液晶ポリマーを基盤とする刺激応答性材料のさらなる機能化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
化合物の合成を効率よく行えた結果、有機合成に要する試薬、溶媒、分離用カラムなどの物品費を節約することができ、次年度使用額が生じた。分子構造と機能の関係を系統的に調べるため、より多くの化合物の合成を行うことを検討しており、これらの化合物の合成に必要な試薬類の購入に充当する予定である。
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