研究課題/領域番号 |
22K14755
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
竹入 史隆 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (20824080)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒドリド / 酸水素化物 / 複合アニオン / 高圧合成 / メカノケミカル合成 |
研究実績の概要 |
ヒドリドイオンが電荷担体としてふるまうイオン導電体(ヒドリド導電体)は、金属水素化物または酸水素化物において報告が相次いでいるが、実際に材料として求められる特性(高い導電率・小さな粒界抵抗・安定性など)を十分に満足するものは未だ不在である。本研究では、ヒドリド導電体の探索領域を、水素化ハロゲン化物や水素化カルコゲン化物といったより広義な複合アニオン化合物へと拡張し、新物質・新材料の発見を目指している。 2022年度には、メカノケミカル合成や高圧合成を駆使することで、いくつかの新規ヒドリド化合物の合成に成功した。それらの新物質はヒドリドイオン導電体、あるいはヒドリド・電子混合導電体として有望であることにくわえ、電子物性の観点からも興味深い。一例として、高圧合成によって得られたガリウムを含む酸水素化物では強固な化学結合からなるポリアニオンを含む構造を設計することで、これまでヒドリド化合物では珍しかった典型金属イオンの安定化に成功した。本化合物については中性子回折データ等も取得済であり、近日中の論文投稿を予定している。それ以外にも、水素化カルコゲン化合物や遷移金属酸水素化物といった物質群でも新物質を見出しており、現在それらの単相化やキャラクタリゼーション、イオン導電性や磁化率測定といった物性測定をすすめている。これらの成果は、本研究の主目的である「複合アニオン水素化物の探索空間拡張」とも合致している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メカノケミカル合成や高圧合成を駆使することで、いくつかの新規ヒドリド化合物を発見した。これらの成果は本研究の主目的である「複合アニオン水素化物の探索空間拡張」とも合致している。一方で2023年の1-3月には所属研究室の移転があったこともあり、得られた新物質の単相化やキャラクタリゼーションにやや遅れが生じている。以上を総合的に考慮し、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
発見した新物質の単相化やキャラクタリゼーション、各種物性測定をすすめ、ヒドリド導電を中心とした機能開拓へと展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年1-3月に所属ラボの移転があり、実験機器および消耗品の購入を翌年度に見送ったため。2023年度に試薬、高純度ガス、ボールミル部材などを購入する費用として使用する予定である。
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