研究課題/領域番号 |
22K14758
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
西山 尚登 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 特命助教 (10850670)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 可視光応答型光触媒 / 金属イオンドープ / 酸化チタン / ゾルーゲル法 |
研究実績の概要 |
申請者は、これまで、酸化チタンにドープする金属イオンの原子価状態制御法を独自に編み出し、難分解性有機物の分解に対して高活性な光触媒粉末を独自に開発してきた。 近年懸念されているエネルギー不足やSDGs達成に向けて、今年度(2022年度)は、これまで独自に開発してきた手法をさらに改良し、水素発生に対して高活性な光触媒の開発に注力した。 申請者が独自に開発してきたゾルーゲル法でPtイオンをドープした透明な酸化チタンゾルを調整後、紫外光を照射することで、ドープしたPt(II)やPt(IV)イオンを還元することで、Pt(0)まで還元された状態を含有する酸化チタンゾルを合成した。このゾルは、Pt(0)まで還元されているにも関わらず、沈殿が確認されず、安定な分散状態を保っていた。さらに、このPt(0)を含有する酸化チタンゾルを用いて、犠牲剤としてメタノールを共存させた状態で、紫外光を照射すると、水素の生成速度は約90-100μmol/hを示した。これは、市販のTiO2粉末にPtを光析出させた光触媒に匹敵する活性であった。したがって、本研究で合成したTiO2ゾルは、焼結を行わなくても有用な光触媒であることが新しく分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者がこれまで独自に開発してきた光触媒は、焼結を伴う粉末状態であり、光生成したホールを利用した有機物分解に対して高活性であることがわかっていた。しかし、今年度推進した研究により、光生成した電子を利用した水素の生成に対しても高活性であることが確認できた。さらに、焼結を行わないゾル状態でも活性が確認できたため、従来よりも合成にかかるエネルギーも低減することができた。したがって、申請者の編み出した独自の高活性化手法は、さらなる発展に繋がっていくと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、太陽光に豊富に含まれる可視光から近赤外光までをも有効的に利用り、高効率に水素を生成させるため、申請者の開発した金属酸化物光触媒に、可視光吸収効率の良い有機色素との新規ハイブリッド光触媒の創出を推進する。具体的には、太陽光に含まれる可視から近赤外光を広く吸収・利用が可能なカーボンナノチューブとのハイブリッド光触媒を創出し、さらなる高活性化を指向する。
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次年度使用額が生じた理由 |
採択時の研究機関から異動したため。
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