研究課題
若手研究
本研究では、資源性の高いポストLi+電池に着目し、室温下での高速充放電(2時間程度)を可能とするMg2+電池の創製に向けた新規異種イオン混合型電解液の開発を目指した。特に、「キャリアイオン種(Mg2+)とは異なるイオン種を混合した異種イオン混合型電解液」として、4級アンモニウム塩(SBPBF4)を混合した電解液設計に着目した。その結果、BF4アニオンを用いた異種イオン混合型電解液では、他のアニオン (PF6やTFSA)を混合した系よりも正極反応速度が向上し、充放電時間を従来系の20時間から2時間程度まで短縮することに成功した。
電気化学
本研究により、ポストリチウムイオン電池として期待されるMg2+電池の正極反応を高速化する電解液設計が開拓され、実用化に向けた基盤が構築されたと考える。また、開発した異種イオン混合型電解液は他のポストLi+電池(Ca2+, Al3+等)においても同様に性能が向上する傾向を見出しつつあり、社会的・学術的な波及効果が大きいと考える。さらに、これまで体系的に理解されていなかった電解液のアニオン種と正極反応速度の関連性を解明する足掛かりとして、本研究がその理論構築の一助になることが期待される。